これからの運用スタイル #WCCStudy

8月27日 (水) 前回いろいろなところで反響のあった合同勉強会「Web Creators Circle」の第二回を開催しました。今回は、場所をネットイヤーグループにして、メンバーズに加え IMJ からも10名ずつ参加し総勢30名強の勉強会となりました。

第二回目のテーマは「運用」です。現状の運用スタイルとその課題、これから求められるであろう理想の運用についてディスカッションをしました。今回もグループごとに分かれてディスカッションをし最後に発表という流れで行いました。

各グループの発表内容はここでは書ききれないので、いくつか気になった点をピックアップしてみます。

運用で求められることとは?

まず、運用とは「改善・ルール化」のことを指すことであり、ルール化のためのガイドラインコミュニケーションが重要とする点は全グループ共通でした。一方で、ユーザー満足度向上のためには、クライアントのビジネス視点を持ち、トータルにコミットしていく姿勢が求められるという点も全グループ共通の理解でした。

  • 運用とは「改善・ルール化」のことを指す
  • クライアントの視点を持ち、トータルにコミットしていく姿勢が理想である

また、そうした運用の姿勢については「プロ意識」を持つことが大切で、クライアントおよびエンドユーザーの「気づいていない領域」について、一番はじめに気づけるようになることが理想だという意見がありました。ここでいうプロとは、クライアントのビジネスのプロではなく、デジタル領域のプロを指します。先見性や市場動向などをふまえて提言できることを指しています。逆に言うと、そうした相談ができるパートナーであることが求められます。

  • プロ意識を持つこと(デジタル領域のプロフェッショナルであること)
  • 相談できるパートナーであること

ただし、そうした先見性を持つことと対照的にリスクを常に考える傾向もあります。春菊さん (だれ) の説明にありましたが、リスクを考えると、いわゆる製造業でいう「QCD」が影響を受けます。効率化やマニュアルなどのシステム化によりQCDを上げることができても、融通が効かなかったり柔軟性に欠けてしまえば、すぐに運用会社のリプレイスも余儀なくされます。したがって、QCDに加えて先見性や柔軟性などの「付加価値」をセットでとらえる必要があります。

  • クライアント視点とは、QCDとRのバランスを考慮すること
  • リスクから、付加価値に変えること
QCD - R2V
QCD – R2V

興味深かったのが、社内の運用メンバーに対しての価値について話し合われたグループがあったことです。どうしても社内の運用メンバーのモチベーション維持は課題になります。クライアントの理想を実現するためには長期的な体制を維持できることが組織としては重要ですが、クライアンの姿勢を社内の運用メンバーにもきちんと伝播できる体制やしくみがあることもまた大切なことです。

  • 運用メンバーのモチベーション維持が課題
  • クライアントの姿勢や思いを、運用メンバーに伝播する体制やしくみが必要

運用業務の「安心・安全」をベースにする考え方に加えて、突き詰めていくと運用とは「誰がやっているか」によるものだという意見がありました。結局は、対応するのは人であり、クライアントと相談できる関係を築けるのもまた人ということになります。つまり、そうした優秀な人材をいかに増やしていくかということが大きな課題につながり、そこで大切なのは「教育」になります。

  • 運用業務とは「人」が関係することである
  • 優秀な人材を増やしていくために「教育」が必要となる
発表と講評
発表と講評

運用とは言わない

ボクが参加したグループでは、運用には、忍耐・飽きる・地味といったネガティブなイメージがあり、仕事内容は主に更新業務が多いためルーチンやマニュアル化を必要とするという意見がありました。一方で、クライアントの要望に応えようとするとすぐに提案を求められることが多いらしいです。提案とはつまり企画の提案だと思いますが、この企画を含むか含まないかで運用との線引きができそうです。運用費用と一口に言ってしまう場合には、企画を含まないことが多いようです。

運用」の対象とは Web などのプロダクトを指すことが多いと思いますが、この場合の「企画」とはいわゆるマーケティング企画に近い部分だと言えます。ただし、運用費用にはそのマーケティング企画費を含むことはないという矛盾があります。

そこで、「運用とは言わないほうがいいのではないか?」という話になりました。「運用」と言ってしまうことで、ネガティブなイメージがつきまとい、メンバーのモチベーションが上がりにくかったり、費用に含まれていないいろいろな相談をしたほうがよかったりするのであれば、いっそ「運用」と呼ばず「戦略」とかにしてしまえばいいのではないか。そうすると、そのために必要な体制も作りやすくメンバーの意識も違い、はじめからビジネス視点になりやすく、何のためにするのかという意思統一もしやすくなると思います。

運用」というのは受託側の表現で、クライアント自身にとってみればマーケティングにおけるひとつの業務に過ぎないと言うこともできます。

オープンな運用プラットフォーム

もう一つは、オムニチャネル時代において企業内の組織が縦割りから横断的になろうとしている変化に合わせて、受託側も企業を横断するような運用プラットフォームができないか、といった話がありました。たとえば、参加したグループでは皆 Backlog を使って管理をしていることが多いと聞きました。であれば Backlog を標準ツールにした運用スキームを各社が導入していれば、必然的に運用スキルや効率はあがると考えることもできます。

せっかく3社が集まっているということもあり、そうした運用スキームをオープンなプラットフォームで実現できないか、という話がありました。そのために必要なスキルを教育することや、運用のための検定試験なども考えれそうです。利権の問題があるかも知れませんが、そうした運用のためのプラットフォームを構築するという話はただの理想というより運用の未来像なのかも知れません。

坂本のまとめ
坂本のまとめ

まとめ

クライアントから運用業務をアウトソースされるかされないかが、受託側の今後における課題だと考えています。これまで外部パートナーにアウトソースしていた企業でも、必要なスキルの人材を採用しインハウスで運用を開始する企業も増えてきました。

市場としてクライアントから必要とされるのは単価の安いスーパーマンでありリードしてくれる人、そんな人はいないわけなので、どうしてもチームで対応していく必要があります。ただそのチームとは、受託業者だけのチームではなく、ビジネスに貢献していくためクライアントといっしょになった戦略チームであるべきだと思います。

今回、第二回を実施して、第一回のときよりも参加者の積極性が増した印象を持ちました。ますます同じような業態どうしの課題共有には意義があるように感じます。第三回は IMJ で実施しようと考えていますので、ぜひご期待ください。


過去の合同勉強会 WCC Study


Web Creators Circle #2
Web Creators Circle #2

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