UX Japan Forum 2014 #uxjapan

7月20日、名古屋で「UX Japan Forum 2014」が開催されました。前日の「UX Japan Community Meeting」から連日参加することになったわけですが、急遽平野さんのディスカッションに友情出演することになり、少しだけ自分の言葉でも話すことができました。

UX Japan Forum 2014

当日は4つのセッションで構成され、丸一日「UX」について考えるイベントになりました。

UX思考

キーノートは、山崎先生 (千葉工業大学) で「UX思考 – ユーザーエクスペリエンスの視点からイノベーションを生み出す」として、IBM での事例から書籍「ビジネスモデル・イノベーション」のご紹介まで、情報量も豊富でいろいろ勉強になりました。久しぶりにツイートもしました。

  • UX思考とは、ユーザーが体験をするもの (時間軸・環境軸・人間軸) を考慮し、トータルにデザインすること。
  • イノベーションの定義とは、持続可能な新しいオファリングを生み出すこと。
  • 組織のデザインとは、利益のモデル、ネットワーク (人のつながり)、組織構造、プロセスの4つのイノベーション・タイプが含まれる。この場合のデザインとは「組織のしくみ」をデザインすることである。
  • UXの戦略とは、UXのビジョン (未来) を描いて、実現化のためのロードマップを作ること。

また、書籍やブログのご紹介もあったため、後日振り返るのにも役に立ちそうです。

全国UXコミュニティミーティングでも出た課題「共感者が広がらない」「ビジネスに繋がらない」についても、ビジョン提案型デザインのアプローチでビジネス視点を考慮し、体験デザインおよび組織デザインを進めていくことで解決できるというお話でした。

そのほか「UX戦略」や「UX戦略の前に」といったお話がありましたが、個人的には「イノベーションタイプとデザイン」の表が印象深く、取り組みについて体系的にとらえることができるのではと感じました。

ユーザエクスペリエンス・デザインの破壊と再生

2つ目のセッションは「ユーザエクスペリエンス・デザインの破壊と再生」というタイトルで、UX Tokyo でも取り組まれているお二人(坂田くん山本くん)によるセッションでした。以前からよく彼らの記事を読んだりしていたのですが、山本くんと会うのは実ははじめてで前日の全国UXコミュニティミーティングが初顔合わせでした。

まず、坂田くんのほうはコンセプト策定から関わった某案件のケーススタディをご紹介いただきました。クライアントと一緒にWebサイトを作り上げていく過程で、役割の変化やこれから求められるデザイナーのスキルについてまとめられていました。

  • ユーザー駆動のサービスデザイン (人間中心設計/サービス・システムのデザイン)
  • デザインを導く立場としてのデザイナー (構想から実行へ)
  • サービス領域の拡張 (Web以外、ビジネス機会の創出)

一方、BEENOS の戦略ディレクターでもある山本くんのほうは、UX Tokyo の3つの方針 (哲学・ビジョン/オリジナリティ/スケーラビリティ) がそのまま今度の UX Tokyo Jam 2014 のプログラム構成になっている点をご説明いただき、BEENOS で最近取り組んでいる 110 日間の起業向けプログラム EIR (Entrepreneur In Residence) についてご紹介がありました。そうした経験から今後必要なキーワードを3つご紹介されました。

  • UX方針伝播のメカニズムの埋め込み
  • スキルアップ・新人教育
  • ビジネス成功事例の創出

キーノートで山崎さんがお話された「組織のデザイン」にも繋がる内容だったため、具体的な方法や取り組みの実例として自然に聞くことができました。

クライアントの向こう側

さて、3つ目のセッションは「クライアントの向こう側 – “見えないユーザー”との付き合い方」というタイトルで、平野さんが担当されました。内容は、某航空会社のケーススタディです。他社でも採用されたパネルデザインを皮切りに、まさにクライアントと共創した実例をご紹介いただきました。

  • 縦割りだった組織を横断で取り組めるようなワークショップを実施
  • 普段気づかない問題をインタビューなどで浮き彫りにして UI の随所に反映
  • 「共有と理解」を関係者の共通認識として徹底できた

それを受けて後半は、急遽わたしも参戦してのディスカッションです。受託からの視点になってしまいますが、経験則から言えることをお話ししました。

  • UXデザインは (受託者にとって) 提案の幅を拡げる、アイデアの最大化に貢献する
  • クライアントと一緒に作ることは、はじめから想定し、フォーマット準備やファシリテーションをする必要がある
  • MVP は二度必要になる (発注者のMVPを受託者はもう一度MVPにする必要がある)

とくに、「UX」という名でさまざまなインプットが膨大に増えてしまう結果、頭デッカチにならないよう「アウトプットに責任を持つこと」が求められると思います。結果、自分の手元 (業務) に還元できるサイクルにする努力をしないといけません。

UXと教育

最後のパネルディスカッションは「UXと教育」というテーマで、山崎先生 (千葉工業大学) と安武先生 (常葉大学)、そして河口先生 (トライデントコンピュータ専門学校) がパネラーとして参加。コーディネーターを浅野先生 (HCD-Net) が担当されました。

社会人や学生に向けた教育についてお話されていましたが、印象に残ったのは「手法に偏りすぎず、何のためにしているのかを見極めて、実体験を積むようにする」ということでした。社会人にもありがちな「手法を求める」という視点ではなく「課題を見つけて経験する」という視点が大切であるということです。

  • 手法に偏りすぎても問題、手法にこだわらないアプローチを最近施行している
  • ワークショップの重要性が再認識されている
  • 情報の等価交換が大切だ
  • 中堅社員の再教育が求められている

これも全国UXコミュニティミーティングでも話があった「すぐに手法を求める」「具体的な実例を求める」という参加者の声に対して「そういうことではないのではないか?」という回答にもつながります。また、教える側・教えられる側と一方通行ではなく、情報の等価交換という点も共通した課題にあがっていました。

リアルタイムドキュメンテーション (RTD)

今回のイベントでは、随時リアルタイムドキュメンテーション (RTD) という名で、安武先生 (常葉大学) の教え子たちで模造紙にサインペンでグラフィックレコーディングをされていた点も印象深い取り組みでした。

聞き手がメモをとり、書き手が下書きなしで描いていく行程は感動です。登壇する側にとっても、こうして聞き手の頭の中を整理して教えてもらえると、どこが伝わりづらかったのかがわかり、貴重な反省材料にもなります。

リアルタイムドキュメンテーション (RTD)

ほかの参加者のコメントやブログもご覧ください。

その後の懇親会では、前日参加されていなかった方々も加わり大勢でお話することができました。名古屋以外から来られた方もいらっしゃったので、自分たちの地域の活動や取り組むうえでの課題なども直接共有することができました。

途中で退席したため、その後は存じ上げませんが (汗)、丸一日「UX」をテーマにした会ならではの参加者どうしの懇親会になったのではないでしょうか。来年は札幌開催を予定しています。

ちなみに、前日の全国UXコミュニティミーティングの様子は「UX Japan Community Meeting #1」からお読みいただけます。

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