SDS-MVS and KA Method

by ServiceDesignSprints.com

Service Design Sprints で MVS ジャーニーのワークがありますが、その作成過程がインタビューや観察から定性的分析を行う「KA 法」と共通する部分があると感じたので、そのあたりを整理してみようと思います。

MVS (Intention + Avatar)

Service Design Sprints の詳細は、書籍『サービス・スタートアップ』を見ていただくとして、その中に「MVS ジャーニー」というワークがあります(ワークブックのダウンロード)。MVS ジャーニーとは、サービスとユーザーの流れを示したもので、いわゆる To Be の CJM と言うこともできます。この MVS を作成する過程で、書き出す内容に「Intention」と「Avatar」があります。

この場合、インテンションとは「意図」ですが、ユーザーが達成したい「What(何)」を指します。アバターとは、「How(どのように)」達成するかを指し、人々やプロセス、チャネル、デジタル表示、モノなどを指します。ある瞬間を、インテンションとアバターとに分解して考えることで、本来ユーザーが意図していたことは何だったのか、その手段にはどういうものがあるのかを見極めていきます。

MVS (Intention + Avatar)

  • インテンションは、意図を指す。ユーザーが達成したい「What」を考える。
  • アバターは、手段を指す。どのように達成するか「How」を考える。

ある瞬間から、本来の意図(インテンション)を見つけることができれば、その手段(アバター)は何にでも置き換えることができます。喉を潤すためには、ミネラルウォーターでなくてもいいという具合です。

MVS (Intention + Avatar) の例

KA Method

KA 法は、株式会社紀文食品の浅田和実氏が食品の商品開発のために開発した分析手法です。ユーザーの価値に着目するもので、観察から得られる「出来事」を「心の声」と「価値」に変換して、ユーザーにとっての価値とは何だったのか洞察を得るための手法です。詳しくは書籍『図解でわかる商品開発マーケティング』が参考になります。昨年、千葉工大の安藤研究室と NRC UXリサーチで共同開発した「実践! KA法おためしキット」が記憶に新しいです。

ユーザー調査から得られたある事象を「出来事」として書き出します。出来事の記述は「状況・動機」「行動」「結果」の 2 つ以上を組み合わせて作成し、そのときのユーザーの「心の声」を想像で書きます。そこから「価値」に置き換えて「動詞 + 価値」という表現で表します。(参考: UX INSPIRATION!

KA 法

  • 心の声とは、ユーザーの本心を書く。建前や表面上発した言葉ではない。
  • 価値とは、ユーザーにとっての価値を書く。機能的・情緒的・自己実現がある。

ある出来事から、ユーザーの「心の声」と本来求めている「価値」がわかれば、その出来事は置き換えることが可能になります。喉を潤す価値の実現のためには、コンビニに行かなくてもミネラルウォーターでなくてもいいという具合です。

KA 法の例

考察

この 2 つはどちらもユーザー行動から定性的に分析する手法と言うことができるかも知れませんが、MVS 法(仮称)のほうはユーザーとサービスとの対話をどのように行うかという、ある意味〈洞察の浅い段階〉においてアイデアを広げるベクトルを感じるのに対し、KA 法はすでにある結果から〈深い洞察を得る〉ための分析に役立つことがわかります。

  • MVS 法(仮称)は、浅い洞察を広げることに役立つ(展開のベクトル)
  • KA 法は、深い洞察を得るために役立つ(深掘りのベクトル)

やはり MVS 法(仮称)は、スタートアップによくあるように、対象製品・サービスがまだない状態の企画段階で行うほうが適していて、すでにユーザーがいる状態であれば KA 法などで深く分析するほうが適しているように感じます。また、逆向きのベクトルを持つ特性を考えると、これら 2 つがサイクルしてもいいのでは、と考えることができます。たとえば、企画段階では MVS 法(仮称)で計画し、検証を KA 法などを使って深く分析するという具合です。

あとがき

書きながら考えたのですが、こうしてブログ(アバター)に書いている行為も、自分の考えを整理するという意図(インテンション)があり実践している(手法を学ぶ)ことになるのだと思いました。

あとがきの例

ちなみに、MVS 法(仮称)にしろ KA 法にしろきちんと学んだことはないので、もし認識や理解が間違っていたらぜひご指摘・ご意見いただければと思います。

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