Global Accessibility Awareness Day #accfes

会場のある神戸商工貿易センタービル24階からの眺め

2017年5月18日、神戸で開催した「アクセシビリティの祭典」に参加してきました。この日は「Global Accessibility Awareness Day」ということで、毎年行われているイベントで、今回は第三回目ということもあり参加者も100名以上とたいへん盛況なイベントでした。メモを頼りに振り返ってみたいと思います。

神戸市ホームページの取り組み

リリース当初から Bing 風の検索窓しかない自治体サイトとして話題になった神戸市のホームページ。広報課の中務さまや関わった方々からの説明や背景を聞くことができました。当初から、検索向上・情報発信力・デザインの向上をねらったリニューアルとして、「デザインの神戸」を発信していく姿勢で取り組まれていたこと、そしてその取り組みは市民の評価をもとにされているという点が印象的でした。

  • トップページの検索キーワードのサジェストはサイト内検索をみて調整している
  • 市民評価として、リリース前(デザイン検討時・CMS実装時)に行った
  • トップページの方向性には2通り(能動的⇔受動的)あるとのこと
  • 検索窓だけだと「6000円」だけのキーワードをうまく誘導できない問題
  • みんなの公共サイト運用ガイドライン」の適用を2019年までに実施予定
  • 10万ページを一気に「AA準拠」できないため、3万ページを徐々に適用する予定
  • 外部サイトも適用範囲のため、関連サイトの調査からはじめる必要がある
  • 現在地よりも継続性が評価される

※「AA準拠」とは、JIS X 8341-3:2016 のウェブアクセシビリティ適合レベルを指す。

LIVE ユーザビリティテスト

実際に被験者に支援ツールを使っていただくライブテスト。インフォアクシアの植木さんがインタビューアーに神戸ライトハウスの澤田さんが被験者で行いました。支援ツール「NetReader」を使って、実際に検索するところを実況中継してもらいました。「検索を検索している」まさにそういった印象を持ちました。

  • U-Site、「ユーザビリティテスト5つのポイント」から必要性を解説
  • 音声ブラウザはいつもは最速で使い、読むというより単語を飛ばす感じ
  • 曜日を一文字で使うと「(土)」が「ツチ」とだけ出力されるが気にしない
  • テストは「難易度(高・中・低)」と「タスクの達成度」で測る

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マシンリーダブル = アクセシビリティ

「JIS 8341-3」の改定により、「ウェブアクセシビリティは福祉の1つ」だと主張されるバスタイムフィッシュの村岡さんとアイ・コラボレーション神戸さんのセッション。現在、ウェブの参加者(利用者)は、ヒューマン(私、あなた、高齢者…)が中心にあるが、そのほかにもマシン(支援ツール)そしてマシン(AI・ソフトウェア)がいることから、マシンリーダブルがより重要になる点を強調されていたと思います。

  • ウェブ技術の性質(オープン性など)をとらえる必要がある
  • ヒューマンリーダブルであり、マシンリーダブルである、この順序で考える
  • 相互運用性「Interoperability」がキーワードである

あなたの価値を高めるWebアクセシビリティ

名古屋のイベント「WCAN 2016 Winter」でもご一緒したことのあるBA伊原さんのセッション。「コーダー白書 2016」「Webデザイナー白書」を用いて、身につけるスキルとして認知されている一方、そもそもアクセシビリティとは何なのかが理解されていない点をふまえて、細かく解説いただきました。

  • アクセシビリティは、UXの一部でありベースである(UXハニカム)
  • Webであることが、そもそもアクセシブルである
  • アクセスして何にアクセスするのかが本来の価値(目的)につながる
  • 使えるかどうか(ユーザビリティ)として捉えることができる
  • テキストは(コードの前提でもあり)インターフェースの基本である
  • ユーザビリティ=アクセシビリティという視点
  • マシンリーダブルとヒューマンリーダブルの境界がウェブアクセシビリティ

最後に「(アクセシビリティは)売りにつながるか?」という質問には、キヤノンの例をもとに、コスト低減につながり利益に貢献する点をご説明いただきました。

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私たち企業がアクセシビリティに取り組む理由

スポンサーである5社から取り組みを簡単にご紹介いただきました。

  • サイバーエージェントでは、アクセシビリティに取り組みを社内評価制度にまでしている(佐藤さん)
  • サイボウズは、「製品にアクセスすることで何にアクセスするか?」をすべて「チーム」として取り組んでいる(小林さん)
  • ヤフーでは、企業理念からアクセシビリティを基本品質としてとらえている。共感性と持続性を重要視しているとのこと(中野さん)
  • FONTPLUS からは小田原市と三井不動産のサイトの例をもとに「Web フォント」についてご紹介いただきました「文字がこれからも主人公になる」と(関口さん)
  • アルファサードでは「Web をよくする」ビジョンをもとに、アクセシビリティ関連の拡張機能(ColorTester/ColorQuest)の開発背景を紹介(野田さん)

「こういうことをするのが好きだ」という野田さんの素直な言葉もそうですが、各社に共通しているのは企業理念からすべてきている点、これが強いから「アクセシビリティ」に関する取り組みもブレなく取り組めるのだと思います。

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WAI-ARIAの正しい使い方~あるある?

「ブルゾンちえみ」のオマージュ (?) からはじまった SAWADA STANDARD DESIGN の澤田さんと D2D (D2Draft) 勉強会の方たちのセッション。「WAI-ARIA 」の使い方やよくある失敗例をご紹介いただきました。

その中で印象に残っているのは、画像がテキトーなもの(たしか大仏)に変わったことではじめて気づく「意味のある画像だったのか」という視点です。装飾とデザインの違いについて、アクセシビリティの文脈でキレイに見えた気がしました。解決策が「ALT」というのは少し拍子抜けしてしまいましたが (笑)、ALT の大切さは痛感することができました。

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※WAI-ARIA は、Web Accessibility Initiative – Accessible Rich Internet Applications の頭文字であり、HTML や SVG で利用できるアクセシビリティ確保のための属性の仕様です。

話題の技術とアクセシビリティ

「情報をアクセシブルにすること = オープンにすること(公平に扱うこと)」を念頭に、IOT や AI(人工知能)のある現在を考える機会になりました。手の震えを抑えるプロダクトの開発は、支援ツールの未来を見させてもらって印象深かかったです。

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トークバトル60分一本勝負「アクセシビリティ vs IA/UX」

昨年の祭典でも「UX」に触れていたことから実現したトークバトル。ミツエーリンクスの木達さんを相手に、レフェリーをBAの伊原さん、ゴングコールを植木さんという布陣でのぞみました。当日まで木達さんとは話をしてはダメだと言われていたので (笑)、本当に「スジナシ」で行いました。いろいろ話していたかと思いますが、記憶に残っているトピックは以下のようだったと思います。

  • 「UI/UX」に「IA」も「アクセシビリティ」も含まれているのではないか?
  • 「アクセシビリティ」は全員が考えることか、担当者が考えることか?
  • U-Site の「設計品質と利用品質」で説明ができるのではないか?
  • 「アクセシビリティ」という言葉を使う必要はないのではないか?
  • アクセシビリティに取り組むことは投資? 永続性への対応になるのでは?
  • アクセシビリティ対応は「統一」ではなく「一貫性」が大切ではないか?

「UX」がつくのは単にカッコイイからでは、と言ったと思いますが、やはり表層や結果に対しての言葉のように受け取れます。なので「IA」や「アクセシビリティ」は本質や進め方(つまりシフトレフト)に対する言葉なのではないかと思います。

グランドフィナーレ「アクセシビリティQ&A」

図らずもボクも前に座らせていただいたのですが、いくつか参加者からの質問を聞くことができました。やはり「アクセシビリティ」への対応についての意見や質問が多かった印象で、それを聞きながら自分の考えも整理しながら聞くことができました。以下のような質問があったと思います。

  • 古いガイドラインをもとに指示を受けている場合がある
  • パートナーとアクセシビリティ対応について意思疎通がうまくいかない
  • 受託側でシフトレフトができるのか?

まとめ

インフォアクシアの植木さんから直接お声がけをいただき、参加することができた本イベントは、展示ブースも含めたいへん多くの方が参加されていました。個人的にも知った顔がチラホラいましたし (笑)。そういう意味でも、国内で唯一のアクセシビリティの大規模イベントだと痛感することができました。そんなイベントに参加できたことが本当にうれしく思います。

今回のイベントは「WCAG 2.1 のリリースおよび IoT や AI の潮流をキッカケに、(アクセシビリティにおける)マシンリーダブルを再考することにつながっている」という大きな気づきを得ることができました。どうしても Web に限定した解釈をしてしまいがちなのですが、今回はそれを超えて見聞きすることが多かったように思います。

懇親会後の澤田さんのコンサートで聞いた「アクセシビリティ・ブルース〜お前の alt に首ったけ〜」をもう一度聞いて改めて「アクセシビリティ」について考えてみようと思います (笑)。

植木さん夫婦はじめ関係者の皆さんありがとうございました。イベントを終始監督していただいた板垣さんや司会いただいた北山さん、ほかにも受付などもろもろお手伝いいただいたアイ・コラボレーションの皆さん大勢いらっしゃったと思いますが、全員にご挨拶できませんでしたのでこの場を借りてお礼いたします。ありがとうございました。

来年もトークバトルするんでしょうかね… (笑)。
懇親会では最後にカラオケまで行くことができ、濃い一日を過ごすことができましたとさ。

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UX DAYS TOKYO 2017 Conference

UX DAYS TOKYO 2017

2017年4月14日(金)に東京で開催された「UX Days Tokyo 2017」のカンファレンスに参加しました。今回で3回目の UX Days Tokyo は、国内最大級のUX系イベントで「UX LONDON」がベースになっています。今年も所属するネットイヤーグループはシルバースポンサーとして参加することができました。

テーマは「組織で作るUX」ということで、スピーカーに元 Twitter のUXマネジャーでもある Cennydd Bowles をはじめ海外の著名な方々をお招きしたカンファレンスでとても豪華でした。

午後からの参加

今回は、当日午前中に所用があったため午後からの参加となりました。お昼のお弁当は、毎年恒例になりつつある今半のお弁当です。午前中にあったセッションは聞けなかったので、ほかの方のイベントレポートに期待したいと思います。

Friction, More or Less/フリクションの一覧

Friction, More or Less by Stephen P. Anderson

Seductive Interaction Design』の著者でもある Stephen P. Anderson からは「6 Kinds of Friction/6つのフリクション」を紹介いただきました。「Friction」とは摩擦や衝突と訳すことができますが、ユーザビリティを考えるうえで絶対悪と思われがちの Friction を、6つの状況に分けて解説し、必ずしもそれは悪ではないことをいっしょに見ていきました。

  • BAD FRICTION/フローがスタックしてしまうこと
  • UNSEEN FRICTION/フローをジャンプすること
  • BOUNDARY FRICTION/人とデバイスなどタッチポイント間を継ぐこと
  • INTENTIONAL FRICTION/あらかじめ事前に防ぐこと
  • LEARNING FRICTION/学んでわかりやすくなること
  • EXTERNAL FRICTION/条件や規制をふまえること

道を塞ぐような工事現場を例に、航空チケットの予約手続きの途中に「やり直し」ボタンが出現したこと、SNS でリンク先を開くと認証画面が出ることなどがあげられました。また、入力手段をタイピングではなくスキャンやメッセでしてしまうことで、フリクションをなくした例などを紹介いただきました。

とくに、UX Days Tokyo 2015 に登壇した Josh Clark の「MIND THE GAP」でも取り上げられた、デバイスをまたぐような技術は最近増えてきていており文字通り「魔法のような」感想を持ちます。ジャーニーにおけるタッチポイント間の「継ぎ目を継ぐこと」の重要さを理解できました。

Designed to Learn/正しいMVPと顧客の学習

Designed to Learn by Melissa Perri

Product Institute」という Product Management School を設立している Melissa Perri からは、本人が過去の経験から気づいたユーザー理解の重要性と MVP についてお話しいただきました。

Pixar CEO の Ed Catmull 氏の言葉「My own belief is that you should be running experiments,many of which will not lead anywhere.If we knew how this was going to end up,we’d just go ahead and do it.」を引用して「Experiment/実験」の重要さを解いてくれました。

  • アジャイル開発やリーン開発で言われている「Minimun Viable Product (MVP)」の本質は、ユーザーを理解するところにある。
  • 問題を追求することに時間をかけすぎないで、早く実験すること。
  • 小さな実験(ウェブ上でのアンケートなど)をしたことで、本当にユーザーがほしいものがわかった実例。
  • 「Problem-Solution Fit/問題解決を考える」から「Product-Market Fit/製品マーケットを考える」という順番で考えること。
  • 大きな課題を解決することは、ビジネスの価値をつくることにつながる。
  • (余計な解釈が増えるため)あえて「MVP」と言わないようにする。
  • 製品戦略は、実験からしか生まれない。

Designing conversations/対話型UIの設計

Designing conversations by Giles Colborne

Giles Colborne は、英国のデジタルコンサルティングファームの cxparners の共同創設者です。今回は、Amazon Echo に代表される音声認識など次世代ユーザーインターフェースにおける陥りがちな問題とその考察をお聞きすることができました。

旧デスクトップパソコンを思い通りにならず破壊する映像からスタートしましたが、あらゆる情報をこの小さな画面に収めようとしていた時代から、より人間の直感に近づいていることがわかります。今回は、AI や 音声による会話の難しさをいくつかのポイントで説明いただきました。

  • 音声入力はしやすい場所や環境により制約を受けやすい(自宅・車・駅・オフィスの順)
  • 会話の始まり方を「STAR TREK」のワンシーンから解説。
  • 会話の続きを理解するには「コンテクストを理解していること」が前提となる。
  • 会話に必要なスコープ(範囲)の設定も重要。
  • 言語は間違いが起こりやすく、同じ音はさらに難しい。
  • Google Home のランプや絵文字などの非言語で感情を表す場合がある。
  • 時間やエラー、シグナルを読み取って答えなければいけない。
  • 顔の動きで感情をパターン化したように思考にもパターンがあること。
  • 感情をつくることが、エクスペリエンスデザイナーだ。

※AI とは Artificial Intelligence の略で人工知能を指す。

休憩時間

司会の土岡さんとも直接お話しができ、休憩中にブースを出している企業をいくつか回ることができました。はじめてお会いする方とも情報交換ができる点はイベント参加のメリットですね。今回もいろいろと収穫がありました。

リクルートライフスタイル鹿毛さんとは面識こそなかったのですがはじめてお話しできたこと、アジケ梅本さんと取り組まれていることについてお聞きできたこと、Sansan の大海さん・後ノ上さんには、彼女らのサービス「Eight」をきちんと紹介いただき、実際に試してその場でつながることができたこと。安藤さん大谷さんらとも再会できてうれしかったです。

UXのイベントに出展している時点で、なにがしか(自分たちとも)共通項があるとは思っていましたが、実際にお話しすることでその理解が深まりました。

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まとめ

今回聞いた3テーマは、いずれも「UX」が関係しているとは言え、ものづくりから見た場合の人間の理解と、理解することで実現できるリアルの話に尽きていたように思います。どうしても「UXデザイン」の文脈で聞いてしまうと、プロセスやナレッジというところに頭がいきがちですが、不確実性の高い未来に対して向き合う処方箋をいくつか見せていただいたような気がします。

単純に、これまでの話というよりもこれから起こる未来に対しての準備とでも言いましょうか。そうした観点をイベント全体(といっても午後だけですが)を通して体験することができたと思います。参加者のイベントレポートはまだあまり見れていませんが、だいたい同じような感想を持ったのではないかと思います。

最後に、グラレコではないですがスタッフとして参加されていた couldヤスヒサさんが描いたスケッチノートが見事なので紹介します。

Sketch note by yhassy

過去のレポート

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KAOSPILOT Creative Leadership Workshop in Tokyo

KAOSPILOT

2017年4月21日と22日の2日間、日本で第2回目となる KAOSPILOT クリエイティブリーダーシップの特別ワークショップ (モジュール1) に参加してきました。

KAOSPILOT とは

KAOSPILOT (カオスパイロット) とは、デンマークにあるビジネス・デザインスクールのことで、世界的に評価されている学校です。以前から、大本 綾さんの記事や講演を聞きかじりしていましたので、そのメソッドや取り組みにはたいへん興味がありました。

今回は、その学校で教えている「クリエイティブリーダーシップ」プログラムを日本で受講できるという点と、その学校の校長である Christer Windeløv-Lidzélius 氏とプログラムディレクターの David Storkholm 氏が来日して直接お話しが聞ける点、そして「百聞は一見に如かず」ということで参加するに至りました。

募集が告知されてから非常に楽しみにしていた反面、本当に参加する価値があるのかずっと疑心暗鬼でした。しかし、終わってみての感想はまったく違っていました。どんなことをしたのか思い出しながら書いてみようと思います。

チェックイン

会場に着くと座席が円になっていることがわかります。全員の顔が見えること・講師含めて並んでいるフラットな関係であることがわかります。

はじめに「チェックイン(この機会に参加する意思と宣誓のようなもの)」を参加者全員でします。これにより、このコミュニティに自分が参加することを全員に知ってもらうこと、また認めてもらったことを自覚します。

2つのリーダー像

KAOSPILOT での取り組みやその考え方を聞きました。中でも印象的だったのが「(コミュニティの)リーダーには2つの側面がある」というものでした。簡単に言うと、中身を見るリーダー「Leaders PARTICLES」と空間を見るリーダー「Leaders SPACE」の違いです。

Leaders PARTICLES/中身を見るリーダー

  • Content/コンテンツ
  • Information/情報
  • Being Instructional/インストラクションを得る
  • Outcome/成果

Leaders SPACE/空間を見るリーダー

  • Context/コンテクスト
  • Communication/コミュニケーション
  • Being Inspirational/インスピレーションを得る
  • Next Step/次のステップ

そして、その役割には、信頼・集中・モチベーション・コミュニケーションをサポートするものだということが明確に述べられていました。コミュニティにおける「信頼」をはじめに置いた解釈は、ボクにとっては新鮮でした。

手元を見ないで描く似顔絵

手元を見ないで相手の似顔絵を書くというワークがありました。「アイスブレイク」としてだったと思いますが、自然と笑みが溢れる点で楽しめました。イラストはどうしても上手く描こうと誰もが思ってしまうものだと思いますが、この方法だとどうやっても上手く描けません。

中には人間の顔とは思えないものもあったわけですが、手元を見ないというルールなので、誰も絵の上手さを気に留めません。今から思えばこの時点で、信頼が作り始められていることに気づきます。

※アイスブレイクとは、初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法。

LEGO を使ったグループワーク

グループワークでは LEGO (レゴ) を使ったワークをしました。1日目の山場だったといえます。一切言葉を発してはいけないこと、一人ひとり別のルールがありそれを明かしてはいけないことなどを条件に、静かにレゴを組み立てていきました。最終的にはうまく組み上げられたわけですが、そこに至るにはいくつかの理由がありました。

  • あいづちを打つこと
  • ジェスチャを交えたこと
  • 順番を待つ、ゆずったりしたこと

途中で、個別のルールはお互いにコンフリクトしないことが伝えられたので、お互いを信じることができました。それによりお互いを「待つこと」ができたのが成功の要因だったように思います。手元に集中しすぎず1つタスクを進めれば、顔を上げまわりを見渡す。「作っては壊す」という順番の如く、まず作りはじめないと次に続かないこともよくわかりました。

リスニングの3レベル

リスイングには3つレベルあり、過去に起きたことを自分の記憶に関連づけて聞くこと・自分の考えを含めないで今起きていることを素直に聞く・まだ起きていないことや言語化されていないことを聞く、というのに分かれるそうです。聞くことというのは「状況について」と「価値について」に分かれます。そして、相手がまだ言語化できていないことを聞き出す「パワフル・クエスチョン」について教わりました。

  1. Internal listenning/過去に起きたことを聞く「MIRROR」
  2. Focused listenning/今起きていることを聞く「TUBE」
  3. Global listenning/まだ起きていないことを聞く「ANTENNA」

これらのリスニングを用いてグループワークを行いました。パワフル・クエスチョン「自分の人生において何をもっとも尊重しているか」について、人生相談ともとれるようなディスカッションをすることができました。

チェックアウト

1日目の終わりに、今回の感想というか気づきを共有するチェックアウトを行いました。はじめにしたチェックインと同様に、円陣で全員の顔が見える状態でしました。

聞くこと」の大切さ、その根底にある「信頼」、そしてそれをどう実践するか「問いの技術」、そのすべてを1日目で学んだと言えます。

クリエイティブ “AIKIDO”

2日目は「コミュニケーション」がテーマでした。その中で「Creative “AIKIDO”」と称したメソッドがたいへん興味深かったです。合気道(相手の力を利用して制す)ということは、物事の考え方にも適用できるということですね。

  • Accept the force/許容する
  • Integrate the force/受け入れる
  • Build on the force/力に変える
  • Offer it back/提供する

相手の意図(意思)を受け入れることから始まります。パントマイムジェスチャでウォーミングアップをしたあとに、相手の話を聞いて次のストーリーを考えるといったワークがありました。この中で「Mind the Gap」についても学びました。

話をもう一度やり直す「New Shot」や、次の話し手に代わる「Shift」という言葉を使い、ペアでストーリーを作っていきます。相手がどう考えているのか、次はどういう展開だと面白いのか、なかなか高度でしたがライブ感があって、とても楽しめました。

ピクシー絵本の創作

デンマークの絵本「Pixie Book」をグループワークで創作するというワークが今回の一番の山場となります。テーマは「リーダーシップ」。絵本を作ることで、チームワークが試されるわけですが、2日間を通して学んだことをすべて活用して取り組むワークになったと思います。

グループ分けはランダムに選ばれたわけですが、奇遇にもIDEOの石川さんやGaji-Laboの山岸さんたちと同じグループでとてもエキサイティングに取り掛かることができました。話せば長くなるので、グループ内でしたいくつかの工夫をトピックとして整理してみます。

  • チェックイン(宣誓)し、お互いがしたい進め方や手法を共有した
  • 散歩に出て、お互いの考え(リーダーシップについて)を共有した
  • 途中でユーザー評価を取り入れた(運営スタッフに意見を聞いた)

リーダーの2人(NTTの草野さん・P&Gの今泉さん)がうまくコントロールしてもらったおかげでスムーズに進めることができました。はじめからガチガチに決めなかったこともあり、キャラクタやストーリーの骨子が決まってからは加速度的に仕上げに入ることができました。最後の仕上がりにはグループ全員が満足しかつ感動することができました。

今回、ボクたちが創作した絵本は「海辺のトロビー」といいます。思いのほかグループ全員の想いも強かったので、実際に絵本を作ってみようという意見まであがっています (笑)。機会があればどこかで開発秘話など含めお話しできればと思います。

Team "TOROBII" Presentation

コミットメント

プログラムも終わり、最後は修了証の授与と引き換えに(クリエイティブ・リーダーとしての)コミットメントを表明する儀式がありました。ボクのコミットメントは「クリエイティブ・リーダーとして、顔を上げて周りを見るようにすること」としました。

考えることや悩むことも多い昨今、自分の手元だけで考えがちですが、顔を上げ周りを見渡して何事も進めていければと思います。

まとめ

はじめ疑心暗鬼だったわけですが、終わってみての感想は「参加して本当によかった」です。なぜそう感じたのか、自分でも整理してみようと思います。ポイントは大きく2つあると思います。

  • 見ていた範囲が違った(手法ではなく哲学だった)
  • 見ていたレイヤーが異なった(デザインではなく人間だった)

まず、見ていた範囲が違ったことがあげられます。はじめは自分でもしているワークショップやファシリテーション、また Service Design Splints を勉強していた背景から、それらとどれほど違うのかという視点(穿った見方)だったことがあげられます。まったくもって狭い範囲でしか考えられていない自分だったことがわかります (笑)。実態は、この投稿で何度も書いている「信頼に基づくところからの出発」にありました。

次に、レイヤーが異なっていたということも言えると思います。どうしてもデザインという視座を持ってしまっていることが原因だと思いますが、今回学んだことはデザイン云々という目に見えるカタチというよりも「人間(関係)」に焦点をあてたものだったと言えます。

最後に「リーダーシップ」とは何でしょうか。ボクははじめ「指揮する・率いる・統率する」イメージで凝り固まっていましたが、今回学んだ結果、リーダーシップとは「信頼という場作りの構築」に置き換わりました。自分でも驚く結果です。そしてこれはなかなか伝えることが難しい。

皆さんにとって「リーダーシップ」とは何でしょうか。

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Playback 2016

mt.fuji

2016年は、漢字一文字で表すと「」が当てはまる一年でした。なにか継続して取り組んでいる、そんな姿勢の表れが端々に出ていた一年だったかと思います。本の出版も然り仕事も然りで、毎日続けること、継続する取り組みをいくつかできたのではないかと思います。

ブログ

2015年個人ブログで15本書いていましたが、2016年は個人ブログの投稿8本、会社ブログ5本、メディア1本なので少なかったですね。そのうち、もっとも多く「いいね!」をもらったのは以下のエントリーでした。来年はもっと多く書こうと思います。

あとは、「g.o.a.t ブログ」で自由律短歌や俳句を写真と合わせて書き綴ることにチャレンジし、日常の出来事を「LINEブログ」に書いたりしてみました。

講演

2015年34本でしたが、今回はその倍にあたる62本だったようです。毎月5本以上なので毎週末(それ以上)やってたことになりますね (汗)。はじめて訪れた場所(長野・甲府・神戸・松山・沖縄などなど)にもお呼びいただき、とても充実した旅ができたのも印象的です。たまにお会いする方に「今どちらにおられるんですか?」と聞かれるくらいでした。

内容のほとんどは書籍『IA/UXプラクティス』の発売がキッカケでしたので、同じ地域(名古屋や大阪)に何度もお邪魔させていただくこともありました。ありがとうございました。

  • CSS Nite(After Dark 含む)
  • 宣伝会議(3つの講座)
  • HCD-Net 関西、Xデザイン学校
  • WCAN 2016 Winter
  • JEITA ソフトウェアエンジニアリング技術ワークショップ 2016

執筆

専門メディアサイト「Markezine」の連載を書くことができました。また2年前に絶版になった書籍のリベンジとして3月に単著『IA/UXプラクティス』を発売することができました。そして年内最後の12月には共著『UX x Biz Book』を発売することができました。年に本2冊も出せたことは自分としても驚きです。ありがとうございます。

仕事

組織変更もあり、チームで熱海旅行をしたのが新鮮でしたね。楽しかったです。仕事内容といえば、営業・企画にシフトした年になりました。2016年はじめに取得した「Service Design Sprints」のマスターを取得したことで、社内研修プログラムの充実も図り、会社主催のワークショップイベントも企画から講演をすることができ、プロジェクトでも勉強会に加えワークショップをいくつか実施することができ、内外ともにワークショップをやりまくった一年になりました。監修したツール「UX Recipe」の共有機能をリリースしたことが遠い昔に思えます。

  • 某保険のメディア開発に参加
  • 某メーカーのグローバルサイト案件に参加
  • 某金融サービスの開発に参加
  • 某保険の新規サービス開発プロジェクトに参加
  • UXツール「UX Recipe」共有機能のアップデート
  • NPS x カスタマージャーニーマップ活用セミナー(企画・講演)

プライベート

「懐古」そんなテーマがある一年でした。学生のとき憧れていたグラフィックデザイナーの三木健氏の個展で直接お話することができました。5月に「iPad Pro」と「Apple Pencil」を購入したのですが、それで絵を描く楽しさを再発見することができました。やはり絵を描くことが好きなんだと。それに輪をかけて「iPhone 7 Plus」を購入したおかげで、写真を撮ることも多かった一年でした。

そのキッカケでもないのですが、大切なイラストレーターだった親友を亡くしたことも大きな出来事です。京都で訃報を聞いたときには講演で京都にいたのでそのまま告別式までいたのを思い出します。彼女の絵を描くことに対する想いを受け継ぐカタチで、iPad で絵を書いていたような気がします。

家族で行ったことといえば、狂言で野村萬斎、落語で立川談春など古典芸能を堪能した機会も多かったと思います。そもそも自分はそういうものが好きなんだ、そう思えることが多かったです。時間を見つけてはライブに行ったりとかもしました。最近であれば、竹原ピストルですし、ひょんなことから華原朋美と直接お話もできたし、ベビーメタルのライブに参加したりしました。そういえばドラクエ展に行ったのも今年ですね。

映画・テレビ番組

何と言っても大河ドラマ「真田丸」一色だったと思います。なので長野県に講演に行った際には、上田城に行ったりとかもしました。「龍馬伝」に次ぐ大変すばらしい大河ドラマだったと思います。

映画では「君の名は」はもちろんですが、その前にあった「シン・ゴジラ」これはもう一度観たいですね。細かな演出は庵野監督そのものでした。そして極めつけは先日上映された「ローグ・ワン(スターウォーズ)」ですね。なんといってもエピソード4に続くストーリーだけに興奮が未だに覚めません。

あと個人的には、舞台挨拶に遭遇したロマンポルノ「ジムノペディに乱れる」を見れたこと、竹原ピストルも出てる「永い言い訳」を見たことは印象に残っています。あと、忘れてはいけないのに「スティーブ・ジョブズ」もありました。

  • 真田丸
  • 君の名は
  • シン・ゴジラ
  • ローグ・ワン(スターウォーズ)
  • ジムノペディに乱れる
  • 永い言い訳
  • スティーブ・ジョブズ

読書

読書は、本を購入しても「Kindle」で見つけては買ってしまうことがありました。人の歴史やストーリーがやっぱり好きなようで、そういった書籍を見つけてはコッソリ読んでいました。とくに、海外の著者の翻訳版を多く読んでいるようで、自己啓発も含めいろいろと刺激をもらいました。

  • シンプルに考える
  • ダントツにすごい人になる
  • スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)
  • インクルージョン思考
  • サーチ・インサイド・ユアセルフ
  • Think Simple
  • HARD THINGS

仕事関連では、「〈インターネット〉の次に来るもの」や「未来を築くデザインの思想」など思想にフォーカスした内容の本が多かったように思います。

  • 〈インターネット〉の次に来るもの
  • デザインの伝え方
  • Web制作者のためのUXデザインをはじめる本
  • 未来を築くデザインの思想
  • デザインスプリント
  • ストーリーマッピングからはじめよう

漫画だと「センゴク権兵衛」そして先日最終話だった「スティーブス」があります。

2017年

テーマは「」でいこうと考えています。

これまでの単純な積み重ねではなく、新しい動きをする、これまでにないことをする、もうこれに尽きるかと思います。これまで皆さんにいただいた機会を次のステップにつなげるよう動くことを考えています。

見えている活動としては、アレやコレや言うというよりも「自分の考えていることをアウトプットし続ける」「新しいことにチャレンジし続ける」これを増やすということを念頭に取り組んでいこうと思います。

最後に、竹原ピストルの歌詞を引用しておきます。

何が本当の自分探しだよ。
もうとっくに見つけているじゃないか。
見つけた本当の自分の無様さから逃げようとしているだけの
無様な本当の自分を、とっくに見つけているじゃないか。

2017年、よろしくお願いします。

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CX and UX viewpoint

CX and UX viewpoint

少し前に「CX vs UX」という記事が散見されましたが、自分なりにも整理してみようと思います。

前提としては、どちらもエクスペリエンス(体験)と書いてますので、その対象者をユーザー(利用者)と呼ぶかカスタマー(消費者)と呼ぶかという点でも異なります。

概念としては、「視点が違う」ということもできますが、その言葉を使う背景から考えると「責任範囲が明確に違う」と見ていいと思います。

対比してみると、次のような感じだと思います。

CX (Customer Experience)

  • カスタマーエクスペリエンス
  • マーケティングにおける文脈
  • 対象はサービスデザイン
  • 店舗やサポートなど、ビジネスの対象者を指す

UX (User Experience)

  • ユーザーエクスペリエンス
  • プロダクトにおける文脈
  • 対象はプロダクトデザイン
  • ユーザビリティやUIなど、プロダクトの利用者を指す

言葉の使い分けに目を向けてみましょう。「CXを向上させるためにUXに取り組む」「UXを向上させるためにCXをとらえる」という具合に、次のように使い分けができます。

用例1
CX(つまりマーケティング効果)を向上するために、店舗担当者が使うタブレット用のWebアプリのUX(プロダクト利便性)を調査した。
用例2
WebやアプリのUX(つまりプロダクト利便性)を向上するために、カスタマージャーニーマップ(マーケティング分析手法)を用いた。

このように、視点が異なるため責任範囲(目的)も異なってくるということです。

CX and UX viewpoint Figure

以上のように、「CX」をマーケティング、「UX」をプロダクトの文脈で考えた場合、マーケティングの要素にはプロダクトが必要であり、プロダクトを考えるにはマーケティングを考えなければいけないわけなので、相互関係があるといえます。

したがって、CX(マーケティング)の文脈で語られるとき、プロダクトについては言及されにくく、UX(プロダクト)の文脈で語られるとき、マーケティングについては言及されにくいといった偏りが見られるのが現状です。

論点は、責任範囲に言及すべきで、己が何をするかで話すようにしましょう。

「で、結局何するんだっけ?」と思ったときには「X(体験)」で話さず「C(マーケティング)」なのか「U(プロダクト)」なのか目的を明確にして議論を進めるとよいかと思います。

参考

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ENTERMINA IV #entermina

エンタミナ4 集合写真

去る 8/13 (土) に「エンタミナ4」が開催されました。今回が4回目ということで、これまでの登壇者(総勢11名)が一同に会した大イベントだったわけですが、ボクもそのうちの一人として登壇しました。イベントの雰囲気やスタッフの活躍風景については「エンタミナ4|2016.8.13 – NAVER まとめ」にあがっているので、こちらでご覧いただくことができます。

右脳と左脳フルスロットル

今回のセッションは、登壇順がラストということで言葉を並べるプレゼンにはしないことを決めていたので、Apple PenciliPad Pro に絵を描いているところを見てもらおうという試みでした。最近「UX」テーマでのセッションが多いので、エンタミナらしく少し変わったショーにしてみました。

エンタミナ4 坂本のセッション

もともとは、以前に出演した田口さんのインタビュー番組「INTERVIEW A GO GO」でも語っていますが「#sticky50」で「絵を描くこと」の楽しさを実感していた時期に、鷹野さんから「あのイラストを描いているとこが見れたらいいよね」という雑談をしたことがキッカケでした。

ただ描くだけだと面白くもないので、聖徳太子の「豊聡耳」の逸話をもじって、絵を描きながらいろいろな方からの質問に答えてみるという試みにしてみました。セッションの中でもお話した右脳と左脳を同時にフル回転させてみるということにチャレンジしたわけですが…。

結果は右脳の惨敗でした。質問に答えることはできましたが、やはり手が止まってしまうという結果になりました。一番の誤算は、緊張で手が震えてしまい思った通りに線が書けないという状況に…会社の同僚たちも来ていたのに情けない (TдT)

モデルは豊川さんというディレクターの方ですが、後日きちんと筆入れして完成したものをお渡しすることができました。

ということで、以降はボク以外の登壇者の方のお話と記憶に残っていることを書いてみようと思います。

田口真行さん―プレゼンのコツ

田口さん自身の強烈なキャラを逆手にとり、客観的にツッコミをいれる新スタイルでした。個性が強ければ強いほどできる一人二役のやりとりは田口さんならではで、会場も盛り上がりアイスブレイクとして見事でした。あの映像を見た瞬間に、Tシャツの色が (田口さんだけ) 決まっていた理由を悟りました (笑)。

  • コミュニケーションのコツは、自己紹介で好きなものを説明するときに隠れている
  • プレゼンは根拠を示し、相手からの共感を得ることがもっとも大切だ

鈴木教久さん―人狼ゲームのノウハウ

鈴木さんご自身が企画・開発をされた「人狼ゲーム」のノウハウ (からくり?) についてお話いただきました。とくに初心者が陥りやすいパターンや、熟練者がいる場合の傾向と対策などをわかりやすく解説いただき、したことがない人にも興味が湧く内容でした。早速、あべちよさんも人狼ゲームやってみようと言ってました。

  • 人狼ゲームには、初心者が陥りやすい心理的パターンがある
  • 初心者はジタバタすること、情に訴える必死さが大切だ

中村健太さん―企画のコツ

中村さん自身の経験をもとに、実際の事例でどのように振る舞ったか、どういう思考でものごとを判断しているかについて触れられました。そもそも熱意やパワーを持ち続けている中村さんらしいアプローチで、とても15分とは思えない速さ (鈴木さんの倍速くらい?!) で一気にプレゼンが終わってしまった印象です。

  • 「その企画に愛はあるか」この企画が「すごいんだ」っていう熱意が重要
  • 「それじゃあ仕方ない」と思わせることで、企画を前に進めること

高瀬康次さん―ミスディレクション

もっとも驚いたのは、マジシャンのほうがWebディレクターよりも経験が長いという高瀬さんのセッションです。登場から手品を披露し、種明かしをしていく中で見つかるWebディレクターとしての仕事の考え方、共通項についてお話いただきました。いつもよりイキイキとした高瀬さんの表情が印象的でした。

  • ミスディレクション」とは意識を外させることを指す
  • 人の意識は、点で捉えることで適切にディレクションすることができる

阿部正幸さん―JavaScriptの苦手を克服しよう

時間内に終わるよう、15秒で自動でスライドが進む斬新なプレゼンスタイルでした。これを実現している技術も話す内容も JavaScript なのが面白い。話している途中でも容赦なくスライドが進むので、そのやりとりだけでも楽しめました。ご自身でも言ってましたが「ドM」ですね (笑)。スライドはこちらで公開されています。

  • 絶対に時間どおりに終わる 15 秒で自動送りするスライドを実演
  • object や DOM をわかりやすく解説

松尾茂起さん―反復のすゝめ

ワンフレーズ「反復」だけを盛り込んだセッションで、今回もキーボードで弾き語り、Youtube のビデオで笑いと感動を誘った内容でした。松尾さんならではの独特の「間」と今回のテーマ「反復」とがいい感じに折り重なって、終わったときには「圧倒的 感動!」としか言えない状況になりました。スライドは SlideShare で公開されています。

  • 「ブレないからこその感動」の下りが個人的にはとても好きです
  • 感動は反復で作られる、結果「Oh! 田口」を熱唱いただきました

長谷川恭久さん―好きなものに間違いはない

合計2000時間も熱中しているオンラインゲーム「World War Craft」を題材に、はじめて触れたときの印象を朗読から始めました。前の松尾さんからのバトンタッチということで、非常に入りづらい印象でしたが、自身がのめり込んだゲームの話だけあって、いつもより熱を感じたのはボクだけでしょうか。

  • コーヒーを染み込ませた、あの日の自分からの手紙のような演出が印象的
  • 好きなことには理由がない、好きなことと人間性は関係ない

中尾 豊さん―成功するリスティング広告

検索連動広告の「血の海地獄」と対比して、ディスプレイ広告で独占状態をつくるというアプローチは非常に分かりやすかったです。打ち間違いでもある「entermima」でその独占状態を説明することや、マイルドヤンキーのくだりで自分とは異なるターゲティングについてもスッと理解できました。スライドは SlideShare で公開されています。

  • ディスプレイ広告で気づきを与える大切さ
  • 積極的に検索していないユーザー (マイルドヤンキー) を攻略する

中尾さんのブログ「背景に論理がない感情論は意味がない〜エンタミナ4の登壇を終えて感じたこと〜」にも感想が書かれています。

中川直樹さん―プレゼンテーションで気にしていること

中川さんのセッションは、アッという間に中川さんの世界観に没入してしまいます。この演出もそうですが、オーケストラや寿司ネタに加えて感情移入の解説は文字どおりヤバかったです。「シンデレラ曲線」ははじめて聞いたのですが、CJMと同じで自分事に感じやすくなるポイントを解説されていました。

  • 人に伝えるということは「素敵に伝える・ストーリーを伝える・自分事だと思わせる」ことだ
  • シンデレラ曲線で物語を時間軸にして可視化する

鷹野雅弘さん―英会話レッスン

鷹野さんは前回に引き続き、英会話レッスンをしていただきました。完全に教室というメタファで演出されており、この時間は全員生徒となったことで、飽きさせない工夫はさすがでした。また、身になる覚え方として、Netflix を観ることでシャドーイングが有効な点、わからない穴ぼこをつくることなどを教わりました。

  • 英語の授業で、かつ抜き打ちテストが本編のシナリオになっていた
  • 「パーリー」など「ラリルレロ」に変わるパターン (ハイディ矢野氏の著書)

エンタミナ4 グラレコ(投票)

まとめ

1人15分というリズムで進めたことと、各登壇者の内容がまったく被らなかったことで、参加者としても飽きずに楽しめたイベントだったと思います。また、15分というかなり短い時間にも関わらず、内容はいつもにも引けを取らず一流のプレゼンターばかりだったのも印象的でした。最後の「おかわりセッション」という投票システムもそうですが、これまでとは一線を画すイベントになったことは間違いないと思います。

個人的には、登壇者もさることながら新しい試みにチャレンジできる場を用意してくれた田口さんはじめスタッフの皆さん、そして会場をお借りした C&R 社さんにも感謝感激雨霰です。ありがとうございました。

また、今回も登壇者全員分のグラレコが作成されました。毎回、セッション内容を事前に共有できていない中で書き起こすグラレコは相当大変だったと思いますが、今回もすべての登壇内容をきちんとグラレコで描き上げられていたことに感動しました。

そして、登壇者どおしの交流もいっそう強まり、その日は翌朝までディープな懇親会 (なぞ) で楽しく過ごしましたとさ。次回があるとしたらどんなセッションにできるか自分の中でも猛省するばかりです。

エンタミナ4 登壇者

最後に、中尾さんが書いてくれたTシャツで一句。登壇内容を組み合わせてみた自由律短歌です。

過去のイベント

関連情報

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Attract Fans, Creative Mind #entermina 3

entermina 3

4/9 (土) に開催された週末のエンターテインメント「エンタミナ3」に登壇してきました。今回で3回目になる本イベントは「ファンを惹きつける、クリエイティブマインド」をテーマに、個性的な講師たちが普段話さないことを題材にするというもので、とてもユニークなイベントになりました。

まず、講師陣が豪華です。人狼ゲームの企画者でもある鈴木教久氏、「沈黙のWebマーケティング」著者の松尾茂起氏、CSS Nite の鷹野雅弘氏と本イベントの主催でもある田口真行氏です。その一旦にボクも参加させていただいたわけですが、田口さんの紹介ビデオが面白いのでこちらもご覧ください。

タイトルなし by 坂本貴史

普段話さない題材で何にしようか悩んだ結果、これまでの経験をシンプルに説明するスタイルにし、なぜ IA (情報アーキテクチャ) に興味を持つことになったのか、そして今何をしていて今後どのようなことを考えているのかについて触れてみました。スライドだけでは伝わりづらいとは思いますが、SlideShare でも公開しておきます。

途中で取り入れたスマホの交換ワークショップは賛否両論あったかも知れませんが、整理整頓の話から IA の話、そして UX (ユーザーエクスペリエンス) へと展開するセッション内容の〈芯〉になったと思っています。そのおかげもあり参加者といっしょに作り上げるイベントとしてのトップバッターの務めは果たせたかなと思っています。

将棋指しのチェス by 鷹野雅弘

CSS Nite でおなじみの鷹野さんが、運営側ではなくスピーカーとして登場。歳とって、やっちゃいけないこととして「説教・昔話・自慢話」と言いつつも、ご自身のこれまでの経験を振り返り、後半にはなんと英語の授業という構成で楽しく学ぶ (?) ことができました。

  • 「他の人があまり経験したことないことを晒す」ハッシュタグを題材に、これまでの経験をお話しいただきました。
  • 「100以上の仕事をしたことがある」なか、ミュージシャンをされていた経験が今に活きている事を指し「オファーには飛びつこう」という積極的な姿勢を説得力をもってお話しいただきました。
  • 英語の教師をされていた経験から、後半は「20分で飛躍的に英語力が向上する英語教室」を開講。「Party」が「パーリー」と発音するメカニズムなど、短い時間に上達する Speaking のコツを教えていただきました。

はじめて鷹野さんのプレゼンを見ましたが、とてもわかりやすくて授業を受けているような感覚でした。最後に、スティーブ・ジョブズの言葉「Connecting a dots」を引き合いに出し、ミュージシャンと CSS Nite、英語と日本語などを対比しながら共通点を見出し、すべてはつながることを強調。鷹野さんの何にでもチャレンジしていく姿勢が垣間見れてとても楽しかったです。

あなたの人生を変える”倍音”の話 by 松尾茂起

書籍「沈黙のWebマーケティング」の著者である松尾さん。いつもなら SEO やコンテンツについてのお話しをされる松尾さんが、今回は音楽についての授業をご自身のキーボードを持参して語られました。とくに音や周波数の違いから生まれる人の印象の違いは興味深く拝聴することができました。

  • 倍音(ばいおん)」についての説明。どんな音も複数の音から成り立っていることをキーボードで演奏しつつ実演していただきました。
  • インテル入っている」ショーン氏の声をサンプルに、声の周波数の違いにより人の印象が声で決まるということをご説明いただきました。人で分けると、黒柳徹子は整数次倍音、森進一は非整数次倍音など。
  • なぜ、日本人は非整数次倍音に親しみを覚えるのか。日本人は音を左脳で処理している科学的論拠や、日本語に含まれる子音の多さなどから紐解いてご説明いただきました。

鷹野さんの英語の授業に続き、音楽の授業になった松尾さんの講演は、自身のキーボードで実演いただく近年稀に見るエンターテインメントなセッションでした。聞いたことのない言葉「倍音」をテーマに、音とコミュニケーションについての本質を突いていたかと思います。ボクの声もインテルは入っていないと思いますが (なぞ)、日本語や日本人の性質と音楽との関係性などが理解でき、楽しみながら音楽を学ぶ機会になりました。

生きているうちに評価される道 by 鈴木教久

人狼ゲーム(牢獄の悪夢)」の作者である鈴木さん。「necomimi」のプロダクトディレクターでもありイベントディレクターや番組プロデューサーなどもされているマルチプレイヤーです。そうした彼自身の経験から、クリエイティブなものを生みだすための5つのポイントを簡潔にご紹介いただきました。

  • テレビ番組や映画にもなった「人狼ゲーム」について、発売後どれくらい利用者が増えたのか、どのように認知が広がっていったのかを(知らない人向けに)簡単にご説明いただきました。
  • クリエイティブなものを実現するための「5つのモノサシ」をご紹介いただきました。5つとは「ビジネスの参入障壁・技術の参入障壁・メディア拡散力・自分以外への利益・身の丈にあっているか」についてです。
  • 「死んでから評価される道と、生きているうちに評価される道」のどちらを選択するのか、という問いから始まり、「誰のために世界をどう変えたいのか、それが明確なら人がついてきてくれる」というマインドの大切さをお話しいただきました。

はじめてお会いした鈴木さんのお話しは、スタートアップの話にも通じてとてもわかりやすく説得力を持っていました。ボクは「死んでから評価される道」に手をあげてしまったのでアレですが、やはり何かを作るのは工場ではなく工房であり、深夜の個人作業に宿るのではないかと思いました。講演後にかけつけたファンの多さにも驚き、いろいろな面でとても刺激を受けました。

人前で人を惹きつける喋り by 田口真行

本イベントの主催でもあり、デスクトップワークスの代表でもある田口さん。最近は Schoo の公式チャンネル開設などでご活躍の彼がもっとも勝負できる「喋り」についてお話しいただきました。彼自身の経験から喋り下手がどうすれば惹きつける喋りができるようになるのか極意を教えていただきました。

  • 本イベントの講師陣・プログラム構成の中で、大トリを務めることになった背景から、自分がもっとも自信のある「人を惹きつける喋り」についてスライドを使わずにお話しいただきました。
  • 会場にいる参加者の中から、喋り下手な方を参加させてのワークショップをその場で実施。
  • 相手の共感を得られにくい例として、ヘンに準備してしまい一方的に話してしまう例をあげ、急に話題を振ることでの発想力と緊張感による効果を実演していただきました。

参加者を巻き込むワークショップはとても面白かったです。時間がない中で参加者を巻き込むパワーは流石だなと思いました。答えをあらかじめ準備するよりも、その場の雰囲気で話せるようになるといい、ということだと理解しましたが、かなりハードルが高いだろうなあと感じました。また、話すのと発表するのとではかなり違うと思うので、ケースに分けて説明いただけるとさらによかったと思いました。

トークセッション(モデレーター 高瀬康次)

最後は、登壇者全員が参加してのトークセッションを行いました。モデレーターは、前回登壇もされた高瀬康次氏が担当していただきました。凄いことをやっている人やチャレンジしている人の「うまくいかない方法」について深掘りしようという内容でした。

  • 失敗談とその考え方については、失敗の捉え方や次につなげた経験についてお話ししました。
  • ビジネスレイヤーの方にうまく伝える方法としては、数値目標の話や企業における価値についてお話ししました。
  • デザイナーの価値のあげ方については、自信を持つことや価値を磨くこと、上流工程で巻き込んで進めていく発言力についてお話ししました。

なかなか鋭い質問もあり、最後のトークセッションとしてはまだまだ熱が冷めていない参加者の意気込みや会場の雰囲気が伝わってきました。質問が多くあるということは、それだけ関心を持っていることがあり共有したい姿勢が多かったということだと思うので、イベントとしてもとてもよかったと思います。

グラフィックレコーディング

グラフィックレコーディング

今回も登壇中にライブで図を書き起こすグラフィックレコーディングを実施しました。読者が理解しやすいよう流れを可視化するこの手法は、最近では珍しくなくなってきたかと思いますが、今回は参加者にも参加するカタチで付箋で貼っていく試みを実施していました。

参加者と対話しながらできあがっていくその試みは、とても刺激的で新しかったです。個別に振り返りができなかったのがたいへん残念でしたが、和田さん小野さん名古屋さん、ありがとうございました。

まとめ

今回のエンタミナ3は、3回目にしてようやくエンターテインメントに振り切ったイベントになれた印象です。ボク自身のセッションはエンターテインメントに振り切ることはできなかったと思いますが、いっしょに登壇された皆さんのセッションは、とても楽しくとてもいい刺激を受けました。

参加者の中には、まさかこういう展開になるとは思ってもみなかったと思いますが、実は登壇者側も当日まで話す内容はいっさい共有しておらず、運営スタッフも含めて当日はじめて聞く内容でした。それだけにそれぞれのセッションには驚きがありかつ楽しく参加者といっしょになって作り上げた一日だったと思います。

それだけ大きな化学反応が起きたイベントだったというのが総括ではあるのですが、自分も含めて新たな側面を見せることができた機会になったと思います。今回こうした試みをしたことによって、今後のプレゼンの作り方や内容、その場の作り方などには大きな影響があるのではないかと思います。

最後に、こんな素敵なイベントに呼んでいただいた田口さん、場所提供をしていただいたC&R社、ええ声・いい笑顔で最後まで仕切っていただいた司会の篠崎さん、実況担当やSNS担当、カメラや照明などたくさんの関係者の皆さんといっしょに作り上げたこのイベントは本当に楽しかったです。お疲れさまでした。また呼んでいただけるよう精進していきたいと思います。ありがとうございました。

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過去のイベント

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SDS-MVS and KA Method

by ServiceDesignSprints.com

Service Design Sprints で MVS ジャーニーのワークがありますが、その作成過程がインタビューや観察から定性的分析を行う「KA 法」と共通する部分があると感じたので、そのあたりを整理してみようと思います。

MVS (Intention + Avatar)

Service Design Sprints の詳細は、書籍『サービス・スタートアップ』を見ていただくとして、その中に「MVS ジャーニー」というワークがあります(ワークブックのダウンロード)。MVS ジャーニーとは、サービスとユーザーの流れを示したもので、いわゆる To Be の CJM と言うこともできます。この MVS を作成する過程で、書き出す内容に「Intention」と「Avatar」があります。

この場合、インテンションとは「意図」ですが、ユーザーが達成したい「What(何)」を指します。アバターとは、「How(どのように)」達成するかを指し、人々やプロセス、チャネル、デジタル表示、モノなどを指します。ある瞬間を、インテンションとアバターとに分解して考えることで、本来ユーザーが意図していたことは何だったのか、その手段にはどういうものがあるのかを見極めていきます。

MVS (Intention + Avatar)

  • インテンションは、意図を指す。ユーザーが達成したい「What」を考える。
  • アバターは、手段を指す。どのように達成するか「How」を考える。

ある瞬間から、本来の意図(インテンション)を見つけることができれば、その手段(アバター)は何にでも置き換えることができます。喉を潤すためには、ミネラルウォーターでなくてもいいという具合です。

MVS (Intention + Avatar) の例

KA Method

KA 法は、株式会社紀文食品の浅田和実氏が食品の商品開発のために開発した分析手法です。ユーザーの価値に着目するもので、観察から得られる「出来事」を「心の声」と「価値」に変換して、ユーザーにとっての価値とは何だったのか洞察を得るための手法です。詳しくは書籍『図解でわかる商品開発マーケティング』が参考になります。昨年、千葉工大の安藤研究室と NRC UXリサーチで共同開発した「実践! KA法おためしキット」が記憶に新しいです。

ユーザー調査から得られたある事象を「出来事」として書き出します。出来事の記述は「状況・動機」「行動」「結果」の 2 つ以上を組み合わせて作成し、そのときのユーザーの「心の声」を想像で書きます。そこから「価値」に置き換えて「動詞 + 価値」という表現で表します。(参考: UX INSPIRATION!

KA 法

  • 心の声とは、ユーザーの本心を書く。建前や表面上発した言葉ではない。
  • 価値とは、ユーザーにとっての価値を書く。機能的・情緒的・自己実現がある。

ある出来事から、ユーザーの「心の声」と本来求めている「価値」がわかれば、その出来事は置き換えることが可能になります。喉を潤す価値の実現のためには、コンビニに行かなくてもミネラルウォーターでなくてもいいという具合です。

KA 法の例

考察

この 2 つはどちらもユーザー行動から定性的に分析する手法と言うことができるかも知れませんが、MVS 法(仮称)のほうはユーザーとサービスとの対話をどのように行うかという、ある意味〈洞察の浅い段階〉においてアイデアを広げるベクトルを感じるのに対し、KA 法はすでにある結果から〈深い洞察を得る〉ための分析に役立つことがわかります。

  • MVS 法(仮称)は、浅い洞察を広げることに役立つ(展開のベクトル)
  • KA 法は、深い洞察を得るために役立つ(深掘りのベクトル)

やはり MVS 法(仮称)は、スタートアップによくあるように、対象製品・サービスがまだない状態の企画段階で行うほうが適していて、すでにユーザーがいる状態であれば KA 法などで深く分析するほうが適しているように感じます。また、逆向きのベクトルを持つ特性を考えると、これら 2 つがサイクルしてもいいのでは、と考えることができます。たとえば、企画段階では MVS 法(仮称)で計画し、検証を KA 法などを使って深く分析するという具合です。

あとがき

書きながら考えたのですが、こうしてブログ(アバター)に書いている行為も、自分の考えを整理するという意図(インテンション)があり実践している(手法を学ぶ)ことになるのだと思いました。

あとがきの例

ちなみに、MVS 法(仮称)にしろ KA 法にしろきちんと学んだことはないので、もし認識や理解が間違っていたらぜひご指摘・ご意見いただければと思います。

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New book launch “IA/UX Practice”

IA/UXプラクティス

3/18 (金) に書籍『IA/UXプラクティス』が発売されました。

単著として 2 冊目の本ですが、予約開始直後から多くの方にご紹介いただき、とくに献本させていただいた方々のご紹介のおかげで、予約数も前著を大きく上回る結果となりました。本当にありがとうございます。

この本が示すテーマは、「情報アーキテクチャとUXデザイン」ということになりますが、過去を振り返って整理した部分と、これから考えなければならない部分とが混在しています。その中で、演習をカットして「よくある課題 (Practice)」に変更したのは、問題を解くことよりも問題を共有する段階に今はあるのではないかと考えたところにあります。

今回新たに書き下ろした第5章は、昨今のカスタマージャーニーマップに関する経験と課題をまとめています。付録につけた「UX Recipe の挑戦」まで読めば、今後求められるデザイン活動においてカスタマージャーニーの重要さとUXデザインのアプローチ(方向性)がなんとなくイメージできるかと思います。

この「なんとなく」が重要だと考えています。

すでに読んだ人の中には「内容が浅いのではないか?」「もっと具体的に知りたい」と思った方もおられると思いますが、知りたい内容や具体的にしたいことは読者ごとに違います。セミナー後のアンケートでも同様ですが、もっと進め方の詳細を知りたいと思う人や、もっと具体的な数字を知りたい人、説得材料がほしい人、巻き込み方を知りたい人、ツールの使い方を知りたい人などさまざまです。

これらは山積するサービスの課題とまったく同じです。個別に対応するのではなく、それらが指し示す本質的な課題はなにかを考えてみました。ボクはそれを「関係者との課題の共有不足」ではないかと解釈しました。そのため、この本はそうした課題を幅広く扱うカタチになっています。あとはそこからどう詳細に落とすか、どう具体的にするかは読者の置かれた環境の中で見出していただければと思っています。

本書が、そのキッカケづくりに貢献し関係者の共通言語となることを願います。そしてそれを広く共有していただければ、われわれのデザイン活動は大きく前進すると信じています。

IA/UXプラクティス』の発売を記念して各地でセミナーを企画しています。希望があれば Facebook でメッセいただければと思います。

最後に目次をざっと並べて見てみました。みなさんの課題のヒントは見つかったでしょうか?

目次

第1章 UXデザインのとらえ方

  • UXデザインとは
  • ユーザビリティとの違い
  • HCDプロセスの応用
  • リーンUXの原則
  • Practice: UXデザインをプロジェクトに入れるには?
  • コラム: リーンUXと品質の関係性

第2章:モバイルのUXデザイン

  • モバイルファーストの考え方
  • モバイルデザインのヒント
  • タッチ・ジェスチャーのインタラクション
  • 解像度とレスポンシブ対応
  • Practice: モバイルの役割を考えるには?
  • コラム: クロスチャネルにおけるデザイン

第3章:モバイルにおける情報アーキテクチャ

  • モバイルのIAパターン
  • 階層型
  • ハブ&スポーク型
  • マトリョーシカ型
  • タブビュー型
  • 弁当箱型
  • フィルタビュー型
  • 複雑なナビゲーションパターン
  • Practice: デザインパターンを活用するには?
  • コラム: 愛着を深めるマイクロインタラクション

第4章:問題解決としての情報アーキテクチャ

  • コンテンツ構造設計と優先順位
  • 検索パターンとナビゲーションの関係
  • プロトタイピングという可視化
  • デザイン原則
  • Practice: プロトタイピングツールの使い方とは?
  • コラム: サービスデザインという見方

第5章:UXジャーニーマップと可視化

  • ジャーニーマップの種類
  • シナリオの活用
  • 定量✕定性
  • UXマッピングツールの活用
  • Practice: カスタマージャーニーマップを活用するには?
  • コラム: カスタアマージャーニー分析

付録

  • アプリUIデザイナーからみたUX with 深津さん
  • ECサイトにおけるLPパターン by 稲本さん
  • 事業会社におけるUXデザインの取り組み by 村越さん
  • UX Recipeによる挑戦
  • UXデザインに関する書籍紹介

関連記事

発売を記念して Facebook ページを作りましたので、興味ある方はリアクションしてみてください。

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Piece of Service Design Sprints

Service Design Sprints のフレームワークを使って、試験的にワークショップを実施しました。

Service Design Sprints とは、リーン・スタートアップとサービスデザインを組み合わせたようなもので、4 日間で MVS (Minimum Viable Service) を得る手法です。Google Ventures の Design Sprint とは異なるものです。そのほか半日や 2 日間で行う Google Design Sprint もあります。

  • Service Design Sprints / 4日間 / 最小限のサービス (MVS) を得る
  • GV Design Sprint / 5日間 / 最小限のプロダクト (MVP) を得る

最終的に落とし込むのが、サービスかプロダクトかという点で違いがありますが、どちらもリーンスタートアップをベースにした短期間集中プログラムです。ちなみに、書籍は『サービス・スタートアップ』と『Sprint』が参考になります。

ワークショップ

今回のワークショップは、短い時間の中で Service Design Sprints を知ってもらうこと、体験を通してアイデア創出のヒントをつかんでもらうことを目的に取り組みました。

2時間だけだったこともあり、ワークの中から「Time Machine / Invoke your heroes / SWAP」の3つだけを取り出し、それぞれを約 20 分くらいで取りかかるというクレイジーなスケジュールで取り組みました。

  • Time Machine: 過去・現在・未来を調査する
  • Invoke your heroes: ヒーローにインタビュー
  • SWAP: たくさんアイデアを出す

Time Machine – 過去・現在・未来を調査する

ワークショップ風景

まず、グループごとに対象サービスを決めてもらいます。以下4つの中から選んでもらい、それぞれの過去・現在・未来を調査していきました。サービスの選定基準は参加者が利用したことのあるサービスとしてボクのほうであらかじめ用意しました。

  • コンビニ
  • 地下鉄
  • コーヒーショップ
  • スーパー

ワークブックでは「Yesterday / Today / Tomorrow」と書かれていましたが、いつの時代かで迷う人もいたので「起源 / 今 / SF」くらいの振れ幅で考えてもらうようにしました。過去を見つめ直してもらうことで、新しい未来を考えるキッカケにつながります。

そのあとに、それぞれの時間軸で「Learn / Use / Remember」を深掘りしてもらいました。これも「認知方法 / 利用方法 / リピート方法」という具合に、独自の解釈を加えて進めてもらいました。

Invoke your heroes – ヒーローにインタビュー

Invoke your heroes

実際のユーザーにインタビューをしてもらいます。この場合「Hero」とは「エクストリーム・ユーザー」を指します。今回は時間もなかったので以下 4 タイプから選んでもらうようにしました。

  • ヘビーユーザー(熱中しやすい人)
  • ギーク/テッキー(一日中スマホ触っているような人)
  • 臆病/慎重すぎる(何でも臆病になる人)
  • シニア(高齢者)

このタイプが1で決めたサービスにおいて、どう振る舞うのか(どんな人で、どんな行動をするのか)を付箋に書いてもらい「The Hero Profile」のワークシートに貼り付けてもらいました。

だいたいイメージが固まってきたあとに、実在する人にインタビューをしてもらいます。聞き手と書き手のペアで取り組んでもらうようにして、オフィス内で直接聞いてみたり、チャットやメッセで聞いたりしてもらいました。

インタビュー項目は、主にペルソナで使われる構成要素をベースに考えてもらいました。

  • プロフィール(性別・年齢・居住地・職業・家族構成など)
  • サービス利用(1で決めたサービスとの関わり方)
  • 価値観(性格やタイプ、なにを大事にしているかなど)
  • 課題や要望(どういう課題を持っているかなど)

SWAP – たくさんアイデアを出す

SWAP

インタビューで得たニーズや課題からアイデアを描いていきます。インタビューした中から、特徴的だったことや重要そうな課題やニーズを付箋に書き出してもらいます。その中からコアな課題を見つけ出し、解決案(アイデア)を考えるベースをつくります。

解決案は「SWAP」のワークシートをもとに1人2案以上を作ってもらいました。簡単なスケッチと説明文を書いてもらいグループ内で共有し、お互いにプレゼンしてもらってグループでの1案を決めてもらいました。

この解決案(アイデア)の説明も独自に考えて、「意図 / Intention」と「要素 / Avatar」とで分けて考えてもらうようにしました。そうすると、アイデアの概要をすぐに共有しやすくなると思ったので。

  • 意図 /Intention: そのサービスの意図、ユーザーの目的について書く
  • 要素 /Avatar: そのサービスを構成する要素、インターフェースや環境を書く

最後に、グループごとに施策案を発表してもらいます。各グループでいろいろ施策を出してもらいグルーピングなどをし、グループ内で投票して1案を決めてもらう方式で進めました。グループごとに発表してもらい、無事に終えることができました。

まとめ

非常に短い時間でしたが、比較的スムーズに進めることができました。今回のワークショップで一番伝えたかったのは「インタビューして考えたアイデアは、インタビューした人だけの解決案ではないということ」です。

デザインスプリントという言葉を知らない人でも、こうした進め方に慣れてくれば、どういうインプットでどういうアウトプットができそうかが分かり、早い段階で問題解決のアイデアをつくる術が学べるという点もよかったと思います。

また、これまでにユーザーリサーチやインタビューをしたことがない人でも、実際にインタビューをしてもらったりしてユーザー視点を体験するので、デスクワークだけでは気づきにくい新たな気づきを得るなどの効用もあったかと思います。

参加者からも好評でしたので、今回のを糧にしてまた違う機会でも取り組んでみたいと思います。

日本のコミュニティ発足

今回のワークショップで利用した Service Design Sprints ですが、マスター認定をもらっている日本人どうしでコミュニティを発足しました。インフォバーンの井登さんハコスコの奥さんと一緒にこの活動を盛り上げていければと思います。

近いうちにイベント開催や勉強会兼ねたミートアップを予定しているので、このあたり興味・関心をお持ちの方は Facebook メッセでもかまわないのでご連絡ください。

sds-JP-masters

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