ENTERMINA IV #entermina

エンタミナ4 集合写真

去る 8/13 (土) に「エンタミナ4」が開催されました。今回が4回目ということで、これまでの登壇者(総勢11名)が一同に会した大イベントだったわけですが、ボクもそのうちの一人として登壇しました。イベントの雰囲気やスタッフの活躍風景については「エンタミナ4|2016.8.13 – NAVER まとめ」にあがっているので、こちらでご覧いただくことができます。

右脳と左脳フルスロットル

今回のセッションは、登壇順がラストということで言葉を並べるプレゼンにはしないことを決めていたので、Apple PenciliPad Pro に絵を描いているところを見てもらおうという試みでした。最近「UX」テーマでのセッションが多いので、エンタミナらしく少し変わったショーにしてみました。

エンタミナ4 坂本のセッション

もともとは、以前に出演した田口さんのインタビュー番組「INTERVIEW A GO GO」でも語っていますが「#sticky50」で「絵を描くこと」の楽しさを実感していた時期に、鷹野さんから「あのイラストを描いているとこが見れたらいいよね」という雑談をしたことがキッカケでした。

ただ描くだけだと面白くもないので、聖徳太子の「豊聡耳」の逸話をもじって、絵を描きながらいろいろな方からの質問に答えてみるという試みにしてみました。セッションの中でもお話した右脳と左脳を同時にフル回転させてみるということにチャレンジしたわけですが…。

結果は右脳の惨敗でした。質問に答えることはできましたが、やはり手が止まってしまうという結果になりました。一番の誤算は、緊張で手が震えてしまい思った通りに線が書けないという状況に…会社の同僚たちも来ていたのに情けない (TдT)

モデルは豊川さんというディレクターの方ですが、後日きちんと筆入れして完成したものをお渡しすることができました。

ということで、以降はボク以外の登壇者の方のお話と記憶に残っていることを書いてみようと思います。

田口真行さん―プレゼンのコツ

田口さん自身の強烈なキャラを逆手にとり、客観的にツッコミをいれる新スタイルでした。個性が強ければ強いほどできる一人二役のやりとりは田口さんならではで、会場も盛り上がりアイスブレイクとして見事でした。あの映像を見た瞬間に、Tシャツの色が (田口さんだけ) 決まっていた理由を悟りました (笑)。

  • コミュニケーションのコツは、自己紹介で好きなものを説明するときに隠れている
  • プレゼンは根拠を示し、相手からの共感を得ることがもっとも大切だ

鈴木教久さん―人狼ゲームのノウハウ

鈴木さんご自身が企画・開発をされた「人狼ゲーム」のノウハウ (からくり?) についてお話いただきました。とくに初心者が陥りやすいパターンや、熟練者がいる場合の傾向と対策などをわかりやすく解説いただき、したことがない人にも興味が湧く内容でした。早速、あべちよさんも人狼ゲームやってみようと言ってました。

  • 人狼ゲームには、初心者が陥りやすい心理的パターンがある
  • 初心者はジタバタすること、情に訴える必死さが大切だ

中村健太さん―企画のコツ

中村さん自身の経験をもとに、実際の事例でどのように振る舞ったか、どういう思考でものごとを判断しているかについて触れられました。そもそも熱意やパワーを持ち続けている中村さんらしいアプローチで、とても15分とは思えない速さ (鈴木さんの倍速くらい?!) で一気にプレゼンが終わってしまった印象です。

  • 「その企画に愛はあるか」この企画が「すごいんだ」っていう熱意が重要
  • 「それじゃあ仕方ない」と思わせることで、企画を前に進めること

高瀬康次さん―ミスディレクション

もっとも驚いたのは、マジシャンのほうがWebディレクターよりも経験が長いという高瀬さんのセッションです。登場から手品を披露し、種明かしをしていく中で見つかるWebディレクターとしての仕事の考え方、共通項についてお話いただきました。いつもよりイキイキとした高瀬さんの表情が印象的でした。

  • ミスディレクション」とは意識を外させることを指す
  • 人の意識は、点で捉えることで適切にディレクションすることができる

阿部正幸さん―JavaScriptの苦手を克服しよう

時間内に終わるよう、15秒で自動でスライドが進む斬新なプレゼンスタイルでした。これを実現している技術も話す内容も JavaScript なのが面白い。話している途中でも容赦なくスライドが進むので、そのやりとりだけでも楽しめました。ご自身でも言ってましたが「ドM」ですね (笑)。スライドはこちらで公開されています。

  • 絶対に時間どおりに終わる 15 秒で自動送りするスライドを実演
  • object や DOM をわかりやすく解説

松尾茂起さん―反復のすゝめ

ワンフレーズ「反復」だけを盛り込んだセッションで、今回もキーボードで弾き語り、Youtube のビデオで笑いと感動を誘った内容でした。松尾さんならではの独特の「間」と今回のテーマ「反復」とがいい感じに折り重なって、終わったときには「圧倒的 感動!」としか言えない状況になりました。スライドは SlideShare で公開されています。

  • 「ブレないからこその感動」の下りが個人的にはとても好きです
  • 感動は反復で作られる、結果「Oh! 田口」を熱唱いただきました

長谷川恭久さん―好きなものに間違いはない

合計2000時間も熱中しているオンラインゲーム「World War Craft」を題材に、はじめて触れたときの印象を朗読から始めました。前の松尾さんからのバトンタッチということで、非常に入りづらい印象でしたが、自身がのめり込んだゲームの話だけあって、いつもより熱を感じたのはボクだけでしょうか。

  • コーヒーを染み込ませた、あの日の自分からの手紙のような演出が印象的
  • 好きなことには理由がない、好きなことと人間性は関係ない

中尾 豊さん―成功するリスティング広告

検索連動広告の「血の海地獄」と対比して、ディスプレイ広告で独占状態をつくるというアプローチは非常に分かりやすかったです。打ち間違いでもある「entermima」でその独占状態を説明することや、マイルドヤンキーのくだりで自分とは異なるターゲティングについてもスッと理解できました。スライドは SlideShare で公開されています。

  • ディスプレイ広告で気づきを与える大切さ
  • 積極的に検索していないユーザー (マイルドヤンキー) を攻略する

中尾さんのブログ「背景に論理がない感情論は意味がない〜エンタミナ4の登壇を終えて感じたこと〜」にも感想が書かれています。

中川直樹さん―プレゼンテーションで気にしていること

中川さんのセッションは、アッという間に中川さんの世界観に没入してしまいます。この演出もそうですが、オーケストラや寿司ネタに加えて感情移入の解説は文字どおりヤバかったです。「シンデレラ曲線」ははじめて聞いたのですが、CJMと同じで自分事に感じやすくなるポイントを解説されていました。

  • 人に伝えるということは「素敵に伝える・ストーリーを伝える・自分事だと思わせる」ことだ
  • シンデレラ曲線で物語を時間軸にして可視化する

鷹野雅弘さん―英会話レッスン

鷹野さんは前回に引き続き、英会話レッスンをしていただきました。完全に教室というメタファで演出されており、この時間は全員生徒となったことで、飽きさせない工夫はさすがでした。また、身になる覚え方として、Netflix を観ることでシャドーイングが有効な点、わからない穴ぼこをつくることなどを教わりました。

  • 英語の授業で、かつ抜き打ちテストが本編のシナリオになっていた
  • 「パーリー」など「ラリルレロ」に変わるパターン (ハイディ矢野氏の著書)

エンタミナ4 グラレコ(投票)

まとめ

1人15分というリズムで進めたことと、各登壇者の内容がまったく被らなかったことで、参加者としても飽きずに楽しめたイベントだったと思います。また、15分というかなり短い時間にも関わらず、内容はいつもにも引けを取らず一流のプレゼンターばかりだったのも印象的でした。最後の「おかわりセッション」という投票システムもそうですが、これまでとは一線を画すイベントになったことは間違いないと思います。

個人的には、登壇者もさることながら新しい試みにチャレンジできる場を用意してくれた田口さんはじめスタッフの皆さん、そして会場をお借りした C&R 社さんにも感謝感激雨霰です。ありがとうございました。

また、今回も登壇者全員分のグラレコが作成されました。毎回、セッション内容を事前に共有できていない中で書き起こすグラレコは相当大変だったと思いますが、今回もすべての登壇内容をきちんとグラレコで描き上げられていたことに感動しました。

そして、登壇者どおしの交流もいっそう強まり、その日は翌朝までディープな懇親会 (なぞ) で楽しく過ごしましたとさ。次回があるとしたらどんなセッションにできるか自分の中でも猛省するばかりです。

エンタミナ4 登壇者

最後に、中尾さんが書いてくれたTシャツで一句。登壇内容を組み合わせてみた自由律短歌です。

過去のイベント

関連情報


Attract Fans, Creative Mind #entermina 3

entermina 3

4/9 (土) に開催された週末のエンターテインメント「エンタミナ3」に登壇してきました。今回で3回目になる本イベントは「ファンを惹きつける、クリエイティブマインド」をテーマに、個性的な講師たちが普段話さないことを題材にするというもので、とてもユニークなイベントになりました。

まず、講師陣が豪華です。人狼ゲームの企画者でもある鈴木教久氏、「沈黙のWebマーケティング」著者の松尾茂起氏、CSS Nite の鷹野雅弘氏と本イベントの主催でもある田口真行氏です。その一旦にボクも参加させていただいたわけですが、田口さんの紹介ビデオが面白いのでこちらもご覧ください。

タイトルなし by 坂本貴史

普段話さない題材で何にしようか悩んだ結果、これまでの経験をシンプルに説明するスタイルにし、なぜ IA (情報アーキテクチャ) に興味を持つことになったのか、そして今何をしていて今後どのようなことを考えているのかについて触れてみました。スライドだけでは伝わりづらいとは思いますが、SlideShare でも公開しておきます。

途中で取り入れたスマホの交換ワークショップは賛否両論あったかも知れませんが、整理整頓の話から IA の話、そして UX (ユーザーエクスペリエンス) へと展開するセッション内容の〈芯〉になったと思っています。そのおかげもあり参加者といっしょに作り上げるイベントとしてのトップバッターの務めは果たせたかなと思っています。

将棋指しのチェス by 鷹野雅弘

CSS Nite でおなじみの鷹野さんが、運営側ではなくスピーカーとして登場。歳とって、やっちゃいけないこととして「説教・昔話・自慢話」と言いつつも、ご自身のこれまでの経験を振り返り、後半にはなんと英語の授業という構成で楽しく学ぶ (?) ことができました。

  • 「他の人があまり経験したことないことを晒す」ハッシュタグを題材に、これまでの経験をお話しいただきました。
  • 「100以上の仕事をしたことがある」なか、ミュージシャンをされていた経験が今に活きている事を指し「オファーには飛びつこう」という積極的な姿勢を説得力をもってお話しいただきました。
  • 英語の教師をされていた経験から、後半は「20分で飛躍的に英語力が向上する英語教室」を開講。「Party」が「パーリー」と発音するメカニズムなど、短い時間に上達する Speaking のコツを教えていただきました。

はじめて鷹野さんのプレゼンを見ましたが、とてもわかりやすくて授業を受けているような感覚でした。最後に、スティーブ・ジョブズの言葉「Connecting a dots」を引き合いに出し、ミュージシャンと CSS Nite、英語と日本語などを対比しながら共通点を見出し、すべてはつながることを強調。鷹野さんの何にでもチャレンジしていく姿勢が垣間見れてとても楽しかったです。

あなたの人生を変える”倍音”の話 by 松尾茂起

書籍「沈黙のWebマーケティング」の著者である松尾さん。いつもなら SEO やコンテンツについてのお話しをされる松尾さんが、今回は音楽についての授業をご自身のキーボードを持参して語られました。とくに音や周波数の違いから生まれる人の印象の違いは興味深く拝聴することができました。

  • 倍音(ばいおん)」についての説明。どんな音も複数の音から成り立っていることをキーボードで演奏しつつ実演していただきました。
  • インテル入っている」ショーン氏の声をサンプルに、声の周波数の違いにより人の印象が声で決まるということをご説明いただきました。人で分けると、黒柳徹子は整数次倍音、森進一は非整数次倍音など。
  • なぜ、日本人は非整数次倍音に親しみを覚えるのか。日本人は音を左脳で処理している科学的論拠や、日本語に含まれる子音の多さなどから紐解いてご説明いただきました。

鷹野さんの英語の授業に続き、音楽の授業になった松尾さんの講演は、自身のキーボードで実演いただく近年稀に見るエンターテインメントなセッションでした。聞いたことのない言葉「倍音」をテーマに、音とコミュニケーションについての本質を突いていたかと思います。ボクの声もインテルは入っていないと思いますが (なぞ)、日本語や日本人の性質と音楽との関係性などが理解でき、楽しみながら音楽を学ぶ機会になりました。

生きているうちに評価される道 by 鈴木教久

人狼ゲーム(牢獄の悪夢)」の作者である鈴木さん。「necomimi」のプロダクトディレクターでもありイベントディレクターや番組プロデューサーなどもされているマルチプレイヤーです。そうした彼自身の経験から、クリエイティブなものを生みだすための5つのポイントを簡潔にご紹介いただきました。

  • テレビ番組や映画にもなった「人狼ゲーム」について、発売後どれくらい利用者が増えたのか、どのように認知が広がっていったのかを(知らない人向けに)簡単にご説明いただきました。
  • クリエイティブなものを実現するための「5つのモノサシ」をご紹介いただきました。5つとは「ビジネスの参入障壁・技術の参入障壁・メディア拡散力・自分以外への利益・身の丈にあっているか」についてです。
  • 「死んでから評価される道と、生きているうちに評価される道」のどちらを選択するのか、という問いから始まり、「誰のために世界をどう変えたいのか、それが明確なら人がついてきてくれる」というマインドの大切さをお話しいただきました。

はじめてお会いした鈴木さんのお話しは、スタートアップの話にも通じてとてもわかりやすく説得力を持っていました。ボクは「死んでから評価される道」に手をあげてしまったのでアレですが、やはり何かを作るのは工場ではなく工房であり、深夜の個人作業に宿るのではないかと思いました。講演後にかけつけたファンの多さにも驚き、いろいろな面でとても刺激を受けました。

人前で人を惹きつける喋り by 田口真行

本イベントの主催でもあり、デスクトップワークスの代表でもある田口さん。最近は Schoo の公式チャンネル開設などでご活躍の彼がもっとも勝負できる「喋り」についてお話しいただきました。彼自身の経験から喋り下手がどうすれば惹きつける喋りができるようになるのか極意を教えていただきました。

  • 本イベントの講師陣・プログラム構成の中で、大トリを務めることになった背景から、自分がもっとも自信のある「人を惹きつける喋り」についてスライドを使わずにお話しいただきました。
  • 会場にいる参加者の中から、喋り下手な方を参加させてのワークショップをその場で実施。
  • 相手の共感を得られにくい例として、ヘンに準備してしまい一方的に話してしまう例をあげ、急に話題を振ることでの発想力と緊張感による効果を実演していただきました。

参加者を巻き込むワークショップはとても面白かったです。時間がない中で参加者を巻き込むパワーは流石だなと思いました。答えをあらかじめ準備するよりも、その場の雰囲気で話せるようになるといい、ということだと理解しましたが、かなりハードルが高いだろうなあと感じました。また、話すのと発表するのとではかなり違うと思うので、ケースに分けて説明いただけるとさらによかったと思いました。

トークセッション(モデレーター 高瀬康次)

最後は、登壇者全員が参加してのトークセッションを行いました。モデレーターは、前回登壇もされた高瀬康次氏が担当していただきました。凄いことをやっている人やチャレンジしている人の「うまくいかない方法」について深掘りしようという内容でした。

  • 失敗談とその考え方については、失敗の捉え方や次につなげた経験についてお話ししました。
  • ビジネスレイヤーの方にうまく伝える方法としては、数値目標の話や企業における価値についてお話ししました。
  • デザイナーの価値のあげ方については、自信を持つことや価値を磨くこと、上流工程で巻き込んで進めていく発言力についてお話ししました。

なかなか鋭い質問もあり、最後のトークセッションとしてはまだまだ熱が冷めていない参加者の意気込みや会場の雰囲気が伝わってきました。質問が多くあるということは、それだけ関心を持っていることがあり共有したい姿勢が多かったということだと思うので、イベントとしてもとてもよかったと思います。

グラフィックレコーディング

グラフィックレコーディング

今回も登壇中にライブで図を書き起こすグラフィックレコーディングを実施しました。読者が理解しやすいよう流れを可視化するこの手法は、最近では珍しくなくなってきたかと思いますが、今回は参加者にも参加するカタチで付箋で貼っていく試みを実施していました。

参加者と対話しながらできあがっていくその試みは、とても刺激的で新しかったです。個別に振り返りができなかったのがたいへん残念でしたが、和田さん小野さん名古屋さん、ありがとうございました。

まとめ

今回のエンタミナ3は、3回目にしてようやくエンターテインメントに振り切ったイベントになれた印象です。ボク自身のセッションはエンターテインメントに振り切ることはできなかったと思いますが、いっしょに登壇された皆さんのセッションは、とても楽しくとてもいい刺激を受けました。

参加者の中には、まさかこういう展開になるとは思ってもみなかったと思いますが、実は登壇者側も当日まで話す内容はいっさい共有しておらず、運営スタッフも含めて当日はじめて聞く内容でした。それだけにそれぞれのセッションには驚きがありかつ楽しく参加者といっしょになって作り上げた一日だったと思います。

それだけ大きな化学反応が起きたイベントだったというのが総括ではあるのですが、自分も含めて新たな側面を見せることができた機会になったと思います。今回こうした試みをしたことによって、今後のプレゼンの作り方や内容、その場の作り方などには大きな影響があるのではないかと思います。

最後に、こんな素敵なイベントに呼んでいただいた田口さん、場所提供をしていただいたC&R社、ええ声・いい笑顔で最後まで仕切っていただいた司会の篠崎さん、実況担当やSNS担当、カメラや照明などたくさんの関係者の皆さんといっしょに作り上げたこのイベントは本当に楽しかったです。お疲れさまでした。また呼んでいただけるよう精進していきたいと思います。ありがとうございました。

関連記事

過去のイベント


SDS-MVS and KA Method

by ServiceDesignSprints.com

Service Design Sprints で MVS ジャーニーのワークがありますが、その作成過程がインタビューや観察から定性的分析を行う「KA 法」と共通する部分があると感じたので、そのあたりを整理してみようと思います。

MVS (Intention + Avatar)

Service Design Sprints の詳細は、書籍『サービス・スタートアップ』を見ていただくとして、その中に「MVS ジャーニー」というワークがあります(ワークブックのダウンロード)。MVS ジャーニーとは、サービスとユーザーの流れを示したもので、いわゆる To Be の CJM と言うこともできます。この MVS を作成する過程で、書き出す内容に「Intention」と「Avatar」があります。

この場合、インテンションとは「意図」ですが、ユーザーが達成したい「What(何)」を指します。アバターとは、「How(どのように)」達成するかを指し、人々やプロセス、チャネル、デジタル表示、モノなどを指します。ある瞬間を、インテンションとアバターとに分解して考えることで、本来ユーザーが意図していたことは何だったのか、その手段にはどういうものがあるのかを見極めていきます。

MVS (Intention + Avatar)

  • インテンションは、意図を指す。ユーザーが達成したい「What」を考える。
  • アバターは、手段を指す。どのように達成するか「How」を考える。

ある瞬間から、本来の意図(インテンション)を見つけることができれば、その手段(アバター)は何にでも置き換えることができます。喉を潤すためには、ミネラルウォーターでなくてもいいという具合です。

MVS (Intention + Avatar) の例

KA Method

KA 法は、株式会社紀文食品の浅田和実氏が食品の商品開発のために開発した分析手法です。ユーザーの価値に着目するもので、観察から得られる「出来事」を「心の声」と「価値」に変換して、ユーザーにとっての価値とは何だったのか洞察を得るための手法です。詳しくは書籍『図解でわかる商品開発マーケティング』が参考になります。昨年、千葉工大の安藤研究室と NRC UXリサーチで共同開発した「実践! KA法おためしキット」が記憶に新しいです。

ユーザー調査から得られたある事象を「出来事」として書き出します。出来事の記述は「状況・動機」「行動」「結果」の 2 つ以上を組み合わせて作成し、そのときのユーザーの「心の声」を想像で書きます。そこから「価値」に置き換えて「動詞 + 価値」という表現で表します。(参考: UX INSPIRATION!

KA 法

  • 心の声とは、ユーザーの本心を書く。建前や表面上発した言葉ではない。
  • 価値とは、ユーザーにとっての価値を書く。機能的・情緒的・自己実現がある。

ある出来事から、ユーザーの「心の声」と本来求めている「価値」がわかれば、その出来事は置き換えることが可能になります。喉を潤す価値の実現のためには、コンビニに行かなくてもミネラルウォーターでなくてもいいという具合です。

KA 法の例

考察

この 2 つはどちらもユーザー行動から定性的に分析する手法と言うことができるかも知れませんが、MVS 法(仮称)のほうはユーザーとサービスとの対話をどのように行うかという、ある意味〈洞察の浅い段階〉においてアイデアを広げるベクトルを感じるのに対し、KA 法はすでにある結果から〈深い洞察を得る〉ための分析に役立つことがわかります。

  • MVS 法(仮称)は、浅い洞察を広げることに役立つ(展開のベクトル)
  • KA 法は、深い洞察を得るために役立つ(深掘りのベクトル)

やはり MVS 法(仮称)は、スタートアップによくあるように、対象製品・サービスがまだない状態の企画段階で行うほうが適していて、すでにユーザーがいる状態であれば KA 法などで深く分析するほうが適しているように感じます。また、逆向きのベクトルを持つ特性を考えると、これら 2 つがサイクルしてもいいのでは、と考えることができます。たとえば、企画段階では MVS 法(仮称)で計画し、検証を KA 法などを使って深く分析するという具合です。

あとがき

書きながら考えたのですが、こうしてブログ(アバター)に書いている行為も、自分の考えを整理するという意図(インテンション)があり実践している(手法を学ぶ)ことになるのだと思いました。

あとがきの例

ちなみに、MVS 法(仮称)にしろ KA 法にしろきちんと学んだことはないので、もし認識や理解が間違っていたらぜひご指摘・ご意見いただければと思います。


New book launch “IA/UX Practice”

IA/UXプラクティス

3/18 (金) に書籍『IA/UXプラクティス』が発売されました。

単著として 2 冊目の本ですが、予約開始直後から多くの方にご紹介いただき、とくに献本させていただいた方々のご紹介のおかげで、予約数も前著を大きく上回る結果となりました。本当にありがとうございます。

この本が示すテーマは、「情報アーキテクチャとUXデザイン」ということになりますが、過去を振り返って整理した部分と、これから考えなければならない部分とが混在しています。その中で、演習をカットして「よくある課題 (Practice)」に変更したのは、問題を解くことよりも問題を共有する段階に今はあるのではないかと考えたところにあります。

今回新たに書き下ろした第5章は、昨今のカスタマージャーニーマップに関する経験と課題をまとめています。付録につけた「UX Recipe の挑戦」まで読めば、今後求められるデザイン活動においてカスタマージャーニーの重要さとUXデザインのアプローチ(方向性)がなんとなくイメージできるかと思います。

この「なんとなく」が重要だと考えています。

すでに読んだ人の中には「内容が浅いのではないか?」「もっと具体的に知りたい」と思った方もおられると思いますが、知りたい内容や具体的にしたいことは読者ごとに違います。セミナー後のアンケートでも同様ですが、もっと進め方の詳細を知りたいと思う人や、もっと具体的な数字を知りたい人、説得材料がほしい人、巻き込み方を知りたい人、ツールの使い方を知りたい人などさまざまです。

これらは山積するサービスの課題とまったく同じです。個別に対応するのではなく、それらが指し示す本質的な課題はなにかを考えてみました。ボクはそれを「関係者との課題の共有不足」ではないかと解釈しました。そのため、この本はそうした課題を幅広く扱うカタチになっています。あとはそこからどう詳細に落とすか、どう具体的にするかは読者の置かれた環境の中で見出していただければと思っています。

本書が、そのキッカケづくりに貢献し関係者の共通言語となることを願います。そしてそれを広く共有していただければ、われわれのデザイン活動は大きく前進すると信じています。

IA/UXプラクティス』の発売を記念して各地でセミナーを企画しています。希望があれば Facebook でメッセいただければと思います。

最後に目次をざっと並べて見てみました。みなさんの課題のヒントは見つかったでしょうか?

目次

第1章 UXデザインのとらえ方

  • UXデザインとは
  • ユーザビリティとの違い
  • HCDプロセスの応用
  • リーンUXの原則
  • Practice: UXデザインをプロジェクトに入れるには?
  • コラム: リーンUXと品質の関係性

第2章:モバイルのUXデザイン

  • モバイルファーストの考え方
  • モバイルデザインのヒント
  • タッチ・ジェスチャーのインタラクション
  • 解像度とレスポンシブ対応
  • Practice: モバイルの役割を考えるには?
  • コラム: クロスチャネルにおけるデザイン

第3章:モバイルにおける情報アーキテクチャ

  • モバイルのIAパターン
  • 階層型
  • ハブ&スポーク型
  • マトリョーシカ型
  • タブビュー型
  • 弁当箱型
  • フィルタビュー型
  • 複雑なナビゲーションパターン
  • Practice: デザインパターンを活用するには?
  • コラム: 愛着を深めるマイクロインタラクション

第4章:問題解決としての情報アーキテクチャ

  • コンテンツ構造設計と優先順位
  • 検索パターンとナビゲーションの関係
  • プロトタイピングという可視化
  • デザイン原則
  • Practice: プロトタイピングツールの使い方とは?
  • コラム: サービスデザインという見方

第5章:UXジャーニーマップと可視化

  • ジャーニーマップの種類
  • シナリオの活用
  • 定量✕定性
  • UXマッピングツールの活用
  • Practice: カスタマージャーニーマップを活用するには?
  • コラム: カスタアマージャーニー分析

付録

  • アプリUIデザイナーからみたUX with 深津さん
  • ECサイトにおけるLPパターン by 稲本さん
  • 事業会社におけるUXデザインの取り組み by 村越さん
  • UX Recipeによる挑戦
  • UXデザインに関する書籍紹介

関連記事

発売を記念して Facebook ページを作りましたので、興味ある方はリアクションしてみてください。


|   

Piece of Service Design Sprints

Service Design Sprints のフレームワークを使って、試験的にワークショップを実施しました。

Service Design Sprints とは、リーン・スタートアップとサービスデザインを組み合わせたようなもので、4 日間で MVS (Minimum Viable Service) を得る手法です。Google Ventures の Design Sprint とは異なるものです。そのほか半日や 2 日間で行う Google Design Sprint もあります。

  • Service Design Sprints / 4日間 / 最小限のサービス (MVS) を得る
  • GV Design Sprint / 5日間 / 最小限のプロダクト (MVP) を得る

最終的に落とし込むのが、サービスかプロダクトかという点で違いがありますが、どちらもリーンスタートアップをベースにした短期間集中プログラムです。ちなみに、書籍は『サービス・スタートアップ』と『Sprint』が参考になります。

ワークショップ

今回のワークショップは、短い時間の中で Service Design Sprints を知ってもらうこと、体験を通してアイデア創出のヒントをつかんでもらうことを目的に取り組みました。

2時間だけだったこともあり、ワークの中から「Time Machine / Invoke your heroes / SWAP」の3つだけを取り出し、それぞれを約 20 分くらいで取りかかるというクレイジーなスケジュールで取り組みました。

  • Time Machine: 過去・現在・未来を調査する
  • Invoke your heroes: ヒーローにインタビュー
  • SWAP: たくさんアイデアを出す

Time Machine – 過去・現在・未来を調査する

ワークショップ風景

まず、グループごとに対象サービスを決めてもらいます。以下4つの中から選んでもらい、それぞれの過去・現在・未来を調査していきました。サービスの選定基準は参加者が利用したことのあるサービスとしてボクのほうであらかじめ用意しました。

  • コンビニ
  • 地下鉄
  • コーヒーショップ
  • スーパー

ワークブックでは「Yesterday / Today / Tomorrow」と書かれていましたが、いつの時代かで迷う人もいたので「起源 / 今 / SF」くらいの振れ幅で考えてもらうようにしました。過去を見つめ直してもらうことで、新しい未来を考えるキッカケにつながります。

そのあとに、それぞれの時間軸で「Learn / Use / Remember」を深掘りしてもらいました。これも「認知方法 / 利用方法 / リピート方法」という具合に、独自の解釈を加えて進めてもらいました。

Invoke your heroes – ヒーローにインタビュー

Invoke your heroes

実際のユーザーにインタビューをしてもらいます。この場合「Hero」とは「エクストリーム・ユーザー」を指します。今回は時間もなかったので以下 4 タイプから選んでもらうようにしました。

  • ヘビーユーザー(熱中しやすい人)
  • ギーク/テッキー(一日中スマホ触っているような人)
  • 臆病/慎重すぎる(何でも臆病になる人)
  • シニア(高齢者)

このタイプが1で決めたサービスにおいて、どう振る舞うのか(どんな人で、どんな行動をするのか)を付箋に書いてもらい「The Hero Profile」のワークシートに貼り付けてもらいました。

だいたいイメージが固まってきたあとに、実在する人にインタビューをしてもらいます。聞き手と書き手のペアで取り組んでもらうようにして、オフィス内で直接聞いてみたり、チャットやメッセで聞いたりしてもらいました。

インタビュー項目は、主にペルソナで使われる構成要素をベースに考えてもらいました。

  • プロフィール(性別・年齢・居住地・職業・家族構成など)
  • サービス利用(1で決めたサービスとの関わり方)
  • 価値観(性格やタイプ、なにを大事にしているかなど)
  • 課題や要望(どういう課題を持っているかなど)

SWAP – たくさんアイデアを出す

SWAP

インタビューで得たニーズや課題からアイデアを描いていきます。インタビューした中から、特徴的だったことや重要そうな課題やニーズを付箋に書き出してもらいます。その中からコアな課題を見つけ出し、解決案(アイデア)を考えるベースをつくります。

解決案は「SWAP」のワークシートをもとに1人2案以上を作ってもらいました。簡単なスケッチと説明文を書いてもらいグループ内で共有し、お互いにプレゼンしてもらってグループでの1案を決めてもらいました。

この解決案(アイデア)の説明も独自に考えて、「意図 / Intention」と「要素 / Avatar」とで分けて考えてもらうようにしました。そうすると、アイデアの概要をすぐに共有しやすくなると思ったので。

  • 意図 /Intention: そのサービスの意図、ユーザーの目的について書く
  • 要素 /Avatar: そのサービスを構成する要素、インターフェースや環境を書く

最後に、グループごとに施策案を発表してもらいます。各グループでいろいろ施策を出してもらいグルーピングなどをし、グループ内で投票して1案を決めてもらう方式で進めました。グループごとに発表してもらい、無事に終えることができました。

まとめ

非常に短い時間でしたが、比較的スムーズに進めることができました。今回のワークショップで一番伝えたかったのは「インタビューして考えたアイデアは、インタビューした人だけの解決案ではないということ」です。

デザインスプリントという言葉を知らない人でも、こうした進め方に慣れてくれば、どういうインプットでどういうアウトプットができそうかが分かり、早い段階で問題解決のアイデアをつくる術が学べるという点もよかったと思います。

また、これまでにユーザーリサーチやインタビューをしたことがない人でも、実際にインタビューをしてもらったりしてユーザー視点を体験するので、デスクワークだけでは気づきにくい新たな気づきを得るなどの効用もあったかと思います。

参加者からも好評でしたので、今回のを糧にしてまた違う機会でも取り組んでみたいと思います。

日本のコミュニティ発足

今回のワークショップで利用した Service Design Sprints ですが、マスター認定をもらっている日本人どうしでコミュニティを発足しました。インフォバーンの井登さんハコスコの奥さんと一緒にこの活動を盛り上げていければと思います。

近いうちにイベント開催や勉強会兼ねたミートアップを予定しているので、このあたり興味・関心をお持ちの方は Facebook メッセでもかまわないのでご連絡ください。

sds-JP-masters