Small IA さみっちょ #smallia

Small IA さみっちょ

8月21日 (金)「Small IA さみっちょ」というイベントを開催しました。最近は「IA」を冠にしたイベントも少なくなり「UX」しかほぼ見なくなったわけですが、そんな中でワイヤーフレームについて掘り下げた中身の濃い議論を、集まっていただいた30名近くの参加者と飲みながらできました。

主催は、以前に東北セミボラでご一緒した、ツルカメの森田さん・インテリジェントネットの和田さん・グッドパッチの村越さんとボクで、グラレコを DeNA の和波さんにお手伝いいただきました。場所は、目黒にあるワンパクさんのオフィスをお借りしました。阿部さんが大阪出張で会えず終いで残念でしたが、ワンパクのスタッフさんにもいろいろとご協力いただき無事開催することができました。

記憶のあるうちに感想を交えて振り返ってみたいと思います。

会場風景

Small IA 宣言

by 森田雄@ツルカメ

はじめに、今回の主旨としての「Small IA」について紹介するとともに、どのように我々は取り組んでいくべきかについて森田さんよりお話いただきました。「IA」は「情報アーキテクチャ」を指しますが、海外カンファレンスなどであった「Big IA vs Little IA」であったようなことも踏まえて、もう一度ワイヤーフレームなどに焦点をあてようというものです。

小は大を兼ねるが、大は小を兼ねない」という森田さんのセリフはとても印象に残ります。積み上げた経験でより大きなことはできるが、はじめから大きなことはできないというものです。そのため、口先だけのコンサルではなくプロジェクトを推進する原動力になろうというメッセージはとても共感できる内容でした。宣言にある一部を転載しておきます。

Small IA の主要業務とは、一般には Web ディレクター的な役割の人が担うものとされており、具体的なタスクはワイヤーの作成やコミュニケーションの設計などとなります。それは、事業の最初やら企画やら何やら上流設計からプロジェクトの終端たる実装実務の最後まで、全関係者においての仕様の拠り所となるいわゆるワイヤーを、ゼロから作り出し管理し共有し検証していく崇高なものであります。仕様の拠り所たるワイヤーを根拠にコミュニケーションロスをなくしプロジェクトを円滑に進め高品質の証左を作り出す替え難いものなのであります。

以前ブログに書かれた「僕は生涯Small IAでいい」とか「small IA manifesto」も合わせて読めばいいかも知れません (なぞ)。

Big IA が有名な会社の Small IA

by ゆいぴょん@コンセント

ゆいぴょんからは実体験を踏まえた個人的な意見として「ビジネスの立場に近い IA vs UI に近い立場の IA」という視点でお話いただきました。この2つの側面は、ワイヤーフレームだけの話でもなく概要設計と詳細設計という大規模開発に必要な側面としてもご説明いただきました。彼女自身が UI に近い立場の IA ということで、日々実践している Rapid Design と Rapid Markup をその場で実演までしていただきました。

上流工程と下流工程とで起きる問題については、そのタスクにおける当事者(そのタスクの責任)が決まっていないからではないか (?) という役割分担の話として聞くことができました。また、そのときにどの程度まで掘り下げておく必要があるのかによっても成果物のレベルも変わると思うので、背景をもう少し聞いてみたかったです。

コンテンツ企画とページ設計の境界線はどこにあるのか?

by 足立さん@イントリックス

足立さんからは、サイト単位ではなくページ単位において「企画・アナリスト vs 設計・IA」とのやりとりについてお話いただきました。ある事例で、企画時に考えられた2カラムのレイアウトを、設計段階で1カラムに変えることになったという経緯です。これは分業が進むとよくある課題だと思いました。ボクの近くでも同じようなことはよくあります。

この問題も、基本的にはどの時点でどこまで決められているのか、が明確になっていれば良いように思いました。企画時にデザイン経験者がデザインしていないこと、企画意図が正しく伝達されなかったことが問題のように見えますが、個人的には企画意図としての2カラムを設計担当のデザイナーがうまく表現できなかったスキルの問題ではないかとも思いました。

Small IA よもやま話

by 吉岡くん@リクルードジョブズ

元同僚だった吉岡くんからは、彼の IA としての経験の変遷が見れて、IA や Web 界隈の歴史を感じる内容でした。とくに興味深かったのが、彼がディレクションから IA となり、現在プランナーに至る過程で身につけたタスクです。

GREE 時代には定量的評価の側面ばかりに目をやっていた経緯から、現在は定性的評価の側面も取り入れて進行している点。ワイヤーフレームはデザイナーに託しご自身ではプロジェクト設計をしている点。現在彼がプランナーという肩書で取り組んでいることがよくよくわかりました。狩野分析法は、今度ボクも試してみようと思います。

ワイヤーフレームのツール・定義問題

ワイヤーフレームの書き方
和田さんがモデレータになり、発起人でもある森田さん・村越さん・坂本とでパネルディスカッションをしました。テーマは、ワイヤーフレームのツールについてとワイヤーフレームの定義についてです。

ワイヤーフレームのツールについては、パネラー自ら作業したワイヤーフレームのサンプルを用意していましたのでそれを見ながらできました。その場で話しましたが、やはり業務上 Microsoft PowerPoint が多いのは否めません。とくに複数人で共同作業をする場合、クライアントも編集したい場合などがあるため、Office 製品はよく使うツールだと思います。

共同作業ではない場合やツールの指定がある場合などでは、専門ツールを使うことがあります。ボクの紹介したサンプルでは、AxureBalsamiqJustinmindInVisionUXPin などです。結局は、コミュニケーション力を高める目的で使うため、いつ・誰に・どのように説明するものなのかにより使い分けている格好です。

ワイヤーフレームの定義の話題では「優先順位を書く」という森田さんの説明が簡潔明瞭なことだと思います。ただし、プロジェクトを推進するためのタスクと体制が直接的に関係することだと思います。個人的には、グラフィックデザインを学んだ背景があるため、デザイン工程が効率よく進むよう企画意図をレイアウトにまで反映したものをつくることが多いです。

たとえば、デザイン工程が効率よく進められるためには、テキスト抽出がひとつの選定基準だったりします。そのため、Cacoo や Balsamiq よりも Justinmind や Axure などの HTML 書き出しまでできるほうが便利です。また、ユーザーテストなどする場合を想定して、テストモードのようにコメントが画面に記入できるものも増えました。

Small IA スキルとキャリア問題

イベント終了後の飲み屋で和田さんらと話したことですが、こうした Small IA の経験とキャリアの話があります。たとえばワイヤーフレームの量産ともなればやはり何十や何百ページを相手にする場合もありますが、それをこなすことが今後のキャリアにつながるのかという疑問があります。

最近では、はじめから「IA」という肩書きではじめる方もいるかも知れませんが、そこははじめの宣言にもあったように、経験値の積み上げで取り組んでいくしかないかなと思います。ボクの場合は、もともとデザイナーだったこともあり、そうした経験を活かして IA タスクをしているというのが正しい見方だと思いますし。

そのため「量産だけをしている場合には、IAの専門スキルは身につかない」というのがボクの率直な感想です。どちらかというと、より経験値の多い先輩といっしょに意見交換をして進めることや、質問や疑問を勉強会などで発信するといったことがなければ難しいという言い方になると思います。

また、そのせいで徹夜をしたりといったことがボクも経験ありますが、それだけではやはり心身ともに疲弊するだけであって、ソフトウェアの習得には役立つと思いますが、IA スキルが身につくかというと難しいと思います。

グラレコ

総括

はじめから参加者もいっしょに飲みながらしたことにも助けられて (なぞ)、カジュアルな進行管理にも関わらず、とても白熱した議論やディスカッションができました。

参加者の中には、経験豊富な方から事業会社の方、制作・開発には関わっていないが関心のある方など、実にさまざまな立場の方も参加いただきました。時間の関係で終了後に皆さんと懇親会というふうにはいきませんでしたが、「IA」をテーマにしたイベントは冒頭にも書いたとおり最近では少なくなってきているため、とても貴重な機会になったと思います。

また、こういったイベント開催やコミュニティ運営はとてもたいへんな面がありますが、発起人を中心に協力ができ無事に終えることができてホッとしています。今後もこうした活動を通じて、自分たちの仕事や社会貢献にも通じる取り組みができればと思います。次回もどこかで企画したいと思います。

関係者のブログ

集合写真

P.S. 「Small IA」を略して「スモーリア」と呼ぶようです。


UX Talkshow and discussions #tocolabo

2015年8月8日に、クリーク・アンド・リバー社主催のイベント「と、コラボ特別編 – UXってなんなのさ (仮)」に参加してきました。UXをテーマに参加者からの質問に答えていくという座談会形式で、ブログ「could」でおなじみの長谷川恭久さんといっしょに登壇しました。

UXの語感」でソシオメディアの上野さんが整理されているように、現在UXという言葉の解釈にはいろいろとあるようです。そこで、UXについて参加者の質問に二人で答えるだけの形式にしてみてはどうか、とC&Rで司会の篠崎さんといっしょに企画し実現することができました。

イベント風景 オープニング

プレゼンだけだとどうしても話し手と聞き手に分かれてしまうこともあり、本当に聞きたかったことが聞けないといったこともあると思うので、今回は参加者からの質問をベースにいっしょに考える会という感じにして、やりとりはグラレコを通じて参加者にも可視化できる工夫をしました。グラレコは毎度お世話になっている和田さんにご協力いただきました。

前提

自己紹介でもお話したとおり、個人的にはUXという言葉がどうであれ「自分の手元で起きていることが重要」というスタンスなので、そうした観点でUXを手元で具体化する研究開発中の「UX Recipe」についても少し触れました。

ヤスヒサさんからは、UXをとりまく現況について触れてもらい、2、3カ月で使ったツールを並べてもらいました。そうすると、いかにさまざまな領域に関わっているのかをすぐに理解でき、デザインの概念図においても広い範囲をUXが指していることを参加者と改めて共有することができました。

UI/UX Designer

UX / UI Designer?

わかりやすい例で、LinkedIn で「UI/UX Designer」が含まれる求人数が、2008年で159あったものが2014年には3,509にも膨れ上がっているという現状があります。それだけニーズが増えており雇用にも関係しているという反面、募集要項を見ていくと一体何をするのかわからない例も多々あるようです。

いっそ「UI/UX」という表示があれば消すようなプラグインがあればいいのではないか (?) と話しましたが、それをつけるだけで先入観を持たれ、それをつけることで定義の話題になったりするのが、まさにいまの現状だと思います。

さらに「おもてなし」のニュアンスについてや「デザインは透明であるべき?」ということについてディスカッションをしました。個人的には「すべてはコミュニケーションだと考えるため、デザインも相手がいることによって成り立つ活動」だと話しました。そこには作り手である自分の意思が必要だと思います。

質問と回答

その場で参加者からの質問に答えた一部を抜粋してみます。

Q. UXとUIって一言で言うと、どう違うのか?
デザインとは仕組みをつくることだと思うので、UXは利用における仕組みをつくること、UIはインターフェースの仕組みをつくることだ言えるのではないでしょうか。求人募集でよく併記されてる理由はとくになく、そのほうが新しいとかカッコイイとかSEO的ニュアンスのほうが勝っている気がします。
Q. UXに関わる方は、ご自身のポートフォリオに何を載せるのか?
企画書の抜粋でいいのではないでしょうか。プロセスにおける途中成果物にならざるを得ないと思いますし。役割や体制として自分がどのように関わったのか、とくにプロセスが体系化されていること、どう作ったのかストーリーで話せると思います。
Q. UXを測るということについて、そもそも必要か、何をどう測ればよいか?
「UXを測る」という言葉が何か新しいことのように思っている気がしますが、目的達成のための数値目標だと考えればもちろん必要ですし、そこでの仮説や意味付けには、目的達成におけるストーリーが必要になってくると思います。
Q. UXは数値化できますか?
UXと呼んでいるストーリーに関係する数値の組み合わせはできると思います。なので1つだけ見ればいいということではなく、ストーリーに関係する数値を見つけることが大切になるかと思います。そのためには、エコシステムで捉える視点が大事になります。
Q. UXやIAを社内で浸透させる方法は?
社内のコミュニケーションプラットフォームを活用し情報発信をしていくことが第一歩だと思います。ただし目的として、全員が知っている状態を目指すのか、仕事に組み込まれている状態を目指すのかによりアプローチも変わってくると思います。

疑問の本質

今回、イベントの参加者にあらかじめ質問を用意していただいたおかげで、より聞きたいことや知りたいことが浮き彫りになった気がしました。

  • UI/UXの定義問題
  • UI/UXと併記されていることに対する疑問
  • UXメトリクスといった測定に関する疑問
  • 社内や顧客への浸透問題

というように、非常に基本的な事柄でさえも疑問が生じる状況は「自分に一番近いところでさえ理解されていない現状」として伺えます。言葉の定義もそうですが「なぜそれをする必要があるのか?」に対して明確な答えを皆が求めているようにも思えました。逆にいうと、その答えを「UX」という言葉に課せて(担わせて?)表現しようとしているようにも思えました。

ボクから「UXとは、定性的なインプットを得て、定性的な情報で進め、定性的なアウトプットを得る」と話したのは、まさにその答えの部分には定性的かつ不確実性の高い表現にしかならないということと、定量的な数値的なデータも、仮説・意味づけして定性的に置き換えることができるとお話をしたのは、そうした「UX」という表現に惑わされず目的を見定めるうえで必要なことを進めるだけということをお話しました。

また、ヤスヒサさんから「UXとは、知ってるつもりをなくす」という表現でお話されていましたが、皆が「こうだろう (仮説)」だけで終わらないようにし、試行錯誤をして進めて共有する、そういう姿勢こそが大事だということを教わりました。

ポッドキャスティングとの連動

ヤスヒサさんのポッドキャスト「Automagic」では、質問に対する回答も一部配信されています。合わせてお聞きください。

また、彼のブログ「could」でも今回のイベントについて取り上げていただいています。

当日は、CSS Nite鷹野さんもご参加いただき、非常に緊張感のあるイベントでした (笑) ちなみに写真はいずれも鷹野さんの写真を使わせていただいています。

今回のイベントは、終始UXについて話していたと思います。ただし、一方的に話すというよりも本質的な自分との関わりについて参加者とやりとりできたと思います。個人的にもとても貴重な経験になりました。

企画いただき運営いただいたクリーク・アンド・リバー社の皆さん、そしてヤスヒサさん、参加いただいた皆さん本当にありがとうございました。

#tocolabo イベント風景


OpenUM + 千葉市 + Code for Chiba

グループワーク

2015年8月5日、OpenUMプロジェクトによるワークショップイベント「千葉市サイトのペーパープロトを作成する実践ワークショップ」を開催しました。

前回、横浜市と開催したイベントの第二弾になり、今回は千葉市にご協力をお願いしました。会場運営は、前回と同じロフトワークさんにご協力いただき、地元関係者というカタチで Code for Chiba の方々にご協力いただきました。

今回のワークショップでは、グループ毎にペルソナやジャーニーマップから自治体サイトにおける課題を抽出し、ペーパープロトタイピングで最適な画面設計を提案するというものです。前回に引き続き、20名程度の参加者と千葉市広報広聴課の皆さんとで行いました。

はじめに、アスコエ代表の安井さんから、わたしたちの自治体に対する意識の低さについて言及され、メニューのわかりづらさを取っ掛かりに行政関係者にはまだまだ「UX」視点が不足している点、そのうえで今回のイベントの意義についてご説明いただきました。

千葉市の現状課題

千葉市広報広聴課の高橋さんからは、現状の千葉市サイトのリニューアル経緯と今後の課題についてお話いただきました。2万ページにもなるボリュームや縦割り組織においてできた情報の壁など、結果として本来市民が望むようなものになっていない部分も多々あるというお話でした。その中で、横浜市と同じように住民票関連での手続きが約53万件あり課題が多いということで、今回のワークショップで取り上げることになりました。

ペルソナとジャーニーマップの理解

今回は、あらかじめペルソナとジャーニーマップを用意したうえで、全員で読み解きながら対象画面の施策を検討して進めました。

ジャーニーマップ

ペルソナA: 関山さん「電子証明書の更新」
ジャーニーマップA: 更新手続きが目的だが更新手続きの情報がない課題
ペルソナB: 篠原さん「結婚のため戸籍謄本の取得」
ジャーニーマップB: 検索結果ページに近くの手続き場所が出てこない課題

今回用意したペルソナは、ペルソナAの電子証明手続きとペルソナBの戸籍謄本に関する手続きについてです。どちらも、それぞれのコンテクスト(経緯)をジャーニーマップにした際に、本来の目的が達成できていない課題があり、対象となる画面をどのように改善すればそれらがスムーズに流れたのか、というお題です。

ペーパープロトタイピング

今回は、参加者のほとんどがペーパープロトタイピングをしたことがない方が多かったため、まずは既存サイトの画面を題材に練習しました。その場で説明をしましたが、順番に細部を積み上げていくのではなく、全体構成から徐々に細部を仕上げていく方法です。グループは4つあり、それぞれのグループごとに対象を決めて進めました。

ペーパープロトタイピング

まず個人ワークをしてからグループで議論したため、各グループともに実施内容を細かく議論できた印象でした。途中で参加者から質問があったように、対象画面だけで解決する部分と、ジャーニーマップにしたことで対象画面以外で解決する部分とがあることに改めて気づくことができたと思います。今回の例でいうと、ペルソナAでいえば電子証明用のICカードリーダライタでの接点、ペルソナBでいう検索エンジン対策(はじめに目的のページがヒットすること)などは、今回の対象以外で解決しなければいけない部分として考えることができます。

まとめ

今回のように、ジャーニーマップにすることで全体を俯瞰し、本来対象ではない(ウェブサイトではない)部分の課題にも気づくことができます。また、どちらのペルソナにとっても、ランディングしたページですべての道標がわかるようにナビゲーションの設計が肝になります。「手続き」という一連の流れを持つサービスではとくにこの部分が重要だと思います。

最後に、今回ご協力いただいた Code for Chiba の活動についても触れ、同じような日本各地にあるコミュニティと連携して今回のような取り組みを継続していければと思います。

発表・講評


エクスペリエンス(体験)を繋ぐために #WDF18

WDF #18 坂本の講演風景

去る2015年6月13日に「WDF Vol.18 – Webデザイン最前線」で登壇してきました。研究開発中の「UX Recipe」の経緯をUXデザインにおける課題と合わせて紹介し、その場でデモまでさせていただきました。秋葉さん関口さんの講演も拝聴することができてとても貴重な一日でした。

二度目の金沢訪問

実は金沢へは二度目で、前回はたしか5年くらい前にIT研修セミナーで来た記憶があります。前回はたしか米原経由で行ったと思いますが、今回は3月にオープンしたばかりの北陸新幹線「かがやき」で2時間半くらいで到着しました。そしてたしか自動改札もなかった金沢駅だったと思いますが、今回はもちろん自動改札で立派な駅ビルになっていたり、前は「鼓門」だけだったはずが立派な「もてなしドーム」になっていたりと驚きの連続でした。

思えば、そのときに(5年くらい前に)はじめてイチガミさんとお会いしたと思います。たしか石本さんにお願いして井上さんもそのときにはじめてお会いした記憶があります。そのイチガミさんが主催として参加されている「WDF」の登壇ということで、とても楽しみにしていました。

エクスペリエンスを繋ぐために by 坂本

自分の講演は、研究開発中の「UX Recipe」の経緯をUXデザインにおける課題と合わせて紹介し、その場でデモまでさせていただきました。

IAでいう「ワイヤーフレーム」のようなアウトプットをUXでは「ジャーニーマップ」と解釈し、戦略と戦術、概念と具体化といった双方の視点の違いについて話しました。また、拡散と収束による思考プロセスのうち、ワークショップなどにみられる拡散を、収束させる取り組みとしてのオンラインサービスの有効性をお話しました。

最後に「UX Recipe」を実際に操作するデモを行い、カードソーティングにも似たユーザー行動の可視化とそれぞれの行動に紐づく情報の関連づけ、ダウンロードまでの流れをお見せしました。例によって、モバイルアプリでその場で撮影しカードにするところまでをさせていただきました。

日本語Webフォント最新事情と、文字の楽しさ・魅力も語るよ by 関口さん

WDF #18 関口氏の講演風景

はじめてお会いしたソフトバンク・テクノロジーの関口さんからは、文字の歴史から、書体が変わることでのインパクト、最近話題になっているシステムフォントやWebフォントについてお話いただきました。アップルがシステムフォントを「Helvetica Neue」から「San Francisco」にしたことは記憶に新しいですね。

とくにWebフォントは、企業や自治体サイトでの導入も増え続け、1,000以上のWebサイトで導入されているそうです。日本広報協会の全国広報コンクール2014で入選した小田原市の自治体サイトなどは、アクセシビリティとデザインの両立として高く評価されているそうです。日本語のWebフォントというとまだあまり普及していないように思えて実はさまざまなところで導入が進んでいることがわかりました。

Webフォントの導入メリットがまとめられていたので転記します。

  • アクセシビリティ確保
  • マルチデバイス対応
  • SEO対策
  • 制作効率アップ
  • 多言語対応しやすい
  • ブランディング

最後に、日本語フォントパッケージとして、779書体も同封されている「FONTPLUS」を紹介いただきました。その昔、グラフィックデザインをしていたときに使っていた気がするので妙に懐かしい感じがしました。

キミもチャレンジャー by 秋葉さん

WDF #18 秋葉氏の講演風景

秋葉夫妻でおなじみのツクロア代表の秋葉さんの講演は、ビジネスとユーザーとの関わり方のうち、デザインの捉え方やその場に活きる発想(センス)について独自のスタイルでお話いただきました。

「熱さまシート」に代表されるユニークなネーミングから、わくわくを感じない旅行会社には「旅嬢ズ」のようなキャッチなネーミングを提案するなど、利用者の感情に訴えるアプローチをすること。中でも興味深かったのが「TESSEL」で構築した「エサやり機」を、実際に猫で試したらすぐに破壊されたというエピソードです。会場は爆笑でしたし見事に本質ついてるなと思いました。我々が提供しているサービスには、人間も猫もいるわけで、プロダクトだけでは成り立っていないことをダイレクトに表現されていました。

TESSELについての取り組みを紹介する「Webデザイナー、 Tesselに挑戦」という秋葉さんのスライドが参考になります。

最後に紹介されていた3Dプリンタでツクロアのロゴをデザインされていたので、今度オフィスにお邪魔しに行きたいと思います。

秋葉さんの当日のレポートはこちらでご覧いただけます。

パネルディスカッション

テレビ金沢の黒口さんがモデレータを務めていただき「Web制作者のマインドセット」をテーマにディスカッションしました。「Web制作者のマインドセットをひと言で言うと?」という問いには、それぞれ以下のようなコメントをしていたかと思います。たぶん制作者というより一人のクリエイターとしての心得みたいなものだと思いますが、三者三様の答えでとてもおもしろかったです。

  • わくわく感と執着心 by 関口さん
  • 結局は人 by 秋葉さん
  • 一人でやるとしたら、を考える by 坂本

個人的には「他人任せな態度」がもっとも悪だと思うので、自分の意思を持って活動することがすべてに通じると考えています。そうした意思を持っていない人は「(物理的にはいるんだけど)いない人」と考えてしまうので、途中で発言しましたが、思わず「死んでしまえ」と叫んでしまいます。ちょっとそこだけが記憶に残ってしまい怖い人に見えたかも知れませんが、それだけ強い意思を持ち続けたいと常に考えています。

WDF #18 パネルディスカッション風景

まとめ

今回が二度目の金沢でしたが、とても新鮮でいろいろな気づきを得ることができました。講演者はもちろんですが、運営スタッフや参加者の方ともいろいろお話ができました。ありがとうございました。

懇親会では、金沢の皆さんの温かい雰囲気にずいぶんと呑まれてしまい、二次会まで参加させていただき、とても楽しい時を過ごすことができました。その中でも Code for Kanazawa の方ともお話できたことが、現在取り組んでいる Code for の取り組みにもリンクしていて興味深かったです。脇目には、秋葉さんは女子に囲まれ、ミュージシャンさながらの地方ライブ後のファンとの交流会のようだったのが記憶にあります (笑)。

翌日、妻と金沢を観光し東茶屋町で美味しい鮨を食べて帰りましたとさ。またぜひ行きたいと思います。


Casual Journey Mapping for Web Directors #entermina

entermina opening

7月11日に、田口さん主催のセミナー・イベント「Webディレクター向けセミナーイベント vol.2 東京」に参加しました。前回のバレンタインデー企画で、たくさんチョコをもらったことが懐かしい感じですが、今回はゲスト出演というカタチで参加しました。エンターテイメント + セミナーでエンタミナ (#entermina) です。

登壇者の顔ぶれが豪華だったのはもちろんですが、昨年福井で登壇したメンバーとも重なり、開始前から大いに盛り上がったことに加えて、司会は前回同様C&Rの篠崎さんで、一日に8名の登壇者というフェスのような詰め混み具合にも関わらずスムーズに進行していただき、登壇者・関係者の熱量がハンパなく妙に心地よかったです。

講演「カジュアルジャーニーマッピング」

Casual Journey Mapping」というタイトルで、先月ベータ版の登録受付をリリースしたばかりの「UX Recipe」の紹介をさせていただきました。

前提となる課題の捉え方としては、ワークショップだけでは仕事は終わらないことを強調し、拡散と収束におけるデザイン思考プロセスのお話をしました。オンラインツールの有効性と比較に加えて、今回実現したかった体験を簡単なデモを交えてご紹介することができました。

Casual Journey Mapping for Web Director #entermina

ほかの登壇者の話を簡単ですが紹介したいと思います。

田口さん「企画や提案は自分のため」

主催者でもあるデスクトップワークス田口さんの講演は、「企画や提案は誰のためにするのか?」という問いについてお話いただきました。「クライアントやユーザーのため」という模範解答的な答えではなく、結局は誰が納得すればいいかを考えた場合、そこには「自分」しかいなかったというお話だったと思います。決して、自己主張が激しいという面ではなく、自分が納得するよう取り組む姿勢こそが提供する価値であり、そのために自分の頭で考えて自分の言葉で説明するスタイル(自分ゴト化)は、個人的にも素直に共感できました。

阿部さん「誰が言ったかが重要」

前回も登壇されたCPIエバンジェリスト阿部さんからは、自身が取り組んでいるCPIのマーケティング施策を紐解きながら、コンテンツ・マーケティングの具体例をお話をいただきました。「知る・評判・購入・口コミ」といったユーザーの行動パターンをもとに、どうすればユーザーがコンテンツに触れてもらえるのかをわかりやすく解説していただきました。ユーザー視点と企業視点でのブログ記事の書き方から実際の評価の違い、「誰が言ったかが重要」という点はまさにこのブログにも通じるものがあります。最後にLINEアカウント「cpi-line」の紹介がありました。

中尾さん「検索前に勝負は決まっている」

福井からゲスト登壇に駆けつけた中尾さんは、著書「Google Adwordsで集客・売上UPする方法」「儲かる検索キーワードの見つけ方講座」などでもご紹介していただいているリスティングと取り組み方についてお話いただきました。ザイアンスの法則をもとに、接触を増やす/接触回数を増やすことを念頭に、リスティングの成否は検索前に決まっている点を強調。そのためには、検索する人しない人という大枠「Living Activity」から、ターゲットの嗜好や行動パターンを考えることの重要さをお話いただきました。

松尾さん「共感を生むには感情が必要」

沈黙のWebマーケティング」という小説でもお馴染みWebライダー松尾さんの講演では、共感するコンテンツの作り方について自身で取り組まれたオウンドメディアの事例を交えてのお話をいただきました。共感してもらうためには「感情」がないとダメな点、ストーリーとは「物語(モノを語ること)」であること。思わず2つめのクイズで正解を出してしまったのですが (汗)、非常にリズミカルな講演でした。

今回、もっとも記憶に残ったのはこの松尾さんがお話されていた事例コンテンツにおける共感の生み方です。モノを購入してもらいたいサイトでは、そのモノの利点ではなく、そのモノに出会った背景に共感してもらうことが重要。これを図で示すと以下のようになり、行動シナリオで見ると購入前に力点が置かれていることがわかります。

購入者と未購入者との間にある共感を生む範囲

共感を生む範囲の図解

購入してもらいたい人(つまり未購入者)に対して共感を生むには(つまり同調できるのは)、購入前の経験でしかないということです。これは非常にわかりやすい例でした。あとはもうよく覚えていないですが (笑)、メラビアンの法則から言葉ではなく「外見や表情」から感情を伝えるアプローチとして「マンドリル」のキャラクター紹介でした。思わずLINEスタンプもゲットしたけど使うシーンが思い浮かばない…。

中村さん・高瀬さん・田口さん「最近執筆中の本」

Webディレクション協会としても取り組まれている中村さん高瀬さんからは、最近着手されている新刊についてお話いただきました。Webディレクターズマニュアルの購読者も多い今回の参加者からいくつか質問もありましたが、事例をもとにしたディレクター向けの本ということで、ボクも興味があります。

PM向けの本ならPMBOKやPMPの汎用的な活用に至るケースが多いと思いますが、話を聞いている限りだと事例や個別の対処についてのノウハウが満載なのではないかと期待しております。また、「Webディレクターは何から始めるか?」という問いで興味深かったのは、リサーチすることに加えてワイヤーフレームを書くとかも声にあがった点です。ここは個人的にも掘り下げてみたいなと思った話でした。トリオ漫才かと思わせる雰囲気で短い時間でしか面白かったです。

中川さん「エモーションとロジック」

アンティー・ファクトリー中川さんの講演は、自身のアートディレクターとしての価値観をベースにお話いただきました。興味深かったのが、モノだけでは伝わらない現代において、モノを含んだコトを伝えることの重要さです。その伝え方という点で「エモーションとロジック」について、感情に訴えるアプローチと論理的な説明などと組み合わせることできちんと伝えることができるということ。Apple Watch の CM 発売前・発売時・発売後の違いなどについてまさに動画をみたことで言葉の説明を超えて理解することができました。

ダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」から引用した「ファストシンキングとスローシンキング」についても同様に組み合わせることや使い分けについてのお話だったかと思います。最後に、ワクワクするためには、全てにリズムと抑揚、音楽をオペラのように奏でるような取り組む姿勢が必要ということでした。

パネルディスカッション

パネルディスカッションの前に、Schoo で田口さんの講座でもおなじみの若狭みなとさんも登場し、その間に登壇者がお揃いのTシャツで登場しパネルディスカッションをすることになりました。

その中で、いくつか質問があったかと思いますが、個人的には「最近気にしていること」や「これまでの失敗談」の話が一番印象に残りました。ボク自身でいえば、最近企画に携わったIOTがらみの案件で感じた「メーカー側に必要になるUX視点」で、そういう意味では「IOT」は一つのトピックになるというお話をしました。

また失敗談は、やはり聞きたいことと答えていることがすれ違っていたように思います。多分聞きたかったのは自身の失敗で、答えていたのはプロジェクトの失敗のような気がしました。そういうところでも伝え方について興味深く聞いておりました。

感想

第二回目ということで、第一回目に比べて進行もスムーズに (?) 遅れた感がありますが、参加者からのアンケートを見てみるとイベント自体にとても共感された方が多かったように思います。8人それぞれのメッセージに共通するもの、それは多分「相手を知り、己を知る」以外にないのかも知れません。テクニックや専門用語こそあれ、すべてに共通していたテーマだったように思います。

また、登壇者は皆「自分のメッセージに自信を持ち、だからこそ伝わる」ということにも改めて気づいた一日でした。

個人的には、やはり各人のお話をもう少しじっくり聞いてみたいところと、最後のディスカッションのようなカタチでもう少し各自の考え方や最近の活動について掘り下げられるとよかったかなと思いました。ボク自身はツールの紹介と淡白な内容でしたのでちょっと消化不良な感じがありました。また別の機会にもう少し語れるようなお話ができるようになりたいと思います。

「と、コラボ」特別編の告知

最後に、来月 C&R の「と、コラボ」特別編に『長谷川さんと坂本さんの「UXってなんなのさ」 (仮)』というトークショーイベントに参加するので、その告知をさせていただきました。#tocolabo

ギニュー特戦隊のポーズ

裏話的なものも数限りなくあるので、それはまた別のエントリーに書いておこうと思います。写真は、お揃い色違いTシャツで登壇者がギニュー特戦隊のポーズをしている風景です (笑)。